誰が描いても酷い。
先週は建国記念日が木曜日で飛び石連休となっていましたが、その間を埋めるために金曜日に有給休暇を取っていましたが、ちょうどその日が公開初日となっていたので、先日観た2013年版に続き、2015年版「スティーブ・ジョブズ」を夕方から観に行ってきました。やはり初日とはいえ平日の明るいうちでは客の入りは期待できませんが、私がチケットを購入した開演30分前でも一番乗り、最終的にはわずか5人というのはさすがにまずいのではないでしょうか。
この作品は本人公認の伝記「スティーブ・ジョブズ」と独自の取材に基づいたものとのことですが、伝記を読んだ時とはかなり違う印象を受けました。本作では焦点が最初の娘Lisaとの関係に当てられており、伝記ではそれほど強調されていなかったので、そこが大きな違いなのかと思います。
映画で描かれているのは初代Macintosh、NeXTcube、そして初代iMacというJobsにとっても大きな転機となったであろう製品それぞれの発表の直前の状況です。そこに毎回JobsのガールフレンドであったChrisannがLisaを連れて現れ、一悶着します。また、Wozとの関係もあまり良好とは感じられない描かれ方です。というより、基本的にほとんどすべての人とうまく行っていないように見えますが、唯一気を許しているのが彼の右腕としていつも側にいたJoanna Hoffmanという女性で、Jobsをいなしながらうまく操縦し、Lisaとの関係修復にも一役買っています。これもどこまでが本当の事実なのかわかりませんが、すべてが真実だとするとJobsは、特に若い頃は本当に酷い人間で、関わる人はみな嫌な思いをさせられていそうです。
この作品でJobsを演じたのはMichael Fassbenderですが、先日のAshton Kutcherのように頑張って似せようとしておらず、自然に演じられているのが良かったように思います。見た目やしぐさは特にJobsに似ているようには見えないのですが、そんなものは本作の本質ではないということでしょう。
一方、Joannaを演じているKate Winsletの熱演も素晴らしいものです。アカデミー賞を含め数多くの受賞歴を持ち、CBEを叙勲されているというのも伊達ではありません。ちなみにWoz役はSeth Rogenですが、オタクっぽさが足りないような気がしますし、ここまではっきりJobsに立ち向かったのだろうかとも思いますが、それほどの違和感はありません。
この作品でMichaelとKateの二人は今月発表される第88回アカデミー賞で、それぞれ主演男優賞、助演女優賞のノミネートを受けています。昨年に続いてノミネートされた俳優が白人ばかりだということに対し批判の声が上がっており、Jada Pinkett SmithとSpike Leeを中心に授賞式のボイコットが表明されたりもしていて、ちょっと変な注目のされ方もしていますが、誰が受賞することになるのか私もちょっと関心が出てきました。しかし、アカデミー自体も白人で占められていて、そもそもハリウッドが白人に仕切られている以上、有色人種を優遇するわけにもいかないでしょうし難しいですよね。本当は肌の色がどうとか区別しないでいいような世界になるといいのですが。