Speed RacerGo! Speed Racer, Go!

マッハGoGoGoといえば私も幼少の頃、テレビで観て楽しんだ記憶のあるアニメ番組ですが、初回は1967年から一年間の放送ということなので私が観たのも再放送だったようです。この番組は海外でも放送されて大人気を博したようですが、その時にウォシャウスキー兄弟も夢中になって観ていたということで、それを実写映画化することになったそうです。これについては私も映画化されると知ったときに取り上げていましたが、その「スピード・レーサー」がついに昨日公開の運びとなったので早速観に行ってきました。

アニメの実写版というとCG技術を駆使してリアリティを追求した、アメコミを原作としたものが思い浮かびますが、この作品は逆に実写をベースにアニメっぽい映像を作っているのが特徴的です。その結果、「スパイキッズ」シリーズのような原色を多用したものになっていて目がチカチカしますが、全く非現実的な原作の世界を上手く表現しているかもしれません。

「マッハGoGoGo」のマッハ号に装備されている様々なメカの中でも、真っ先に思い浮かべるのはステアリングのボタンを押すと床下からジャッキが出てきてジャンプしてしまうというアレ、「オートジャッキ」ですが、この作品でも忠実に再現されていて大活躍しています。またその他のメカもそれぞれ効果を発揮していて、原作の一番の見どころはしっかり押さえられているのではないでしょうか。

キャストの方では主役のSpeed Racer(なんという名前…)はEmile Hirschが演じていますが、やや童顔でキリリとした目つきのところなどは原作のSpeedの雰囲気が出ているかもしれません。しかし私は何といってもChristina Ricciが演じるTrixieの個性的な表情が気になって仕方ありません。Christinaはこれまでどんな作品に出ていたのかと調べてみると、「アダムス・ファミリー」でWednesdayを演じていた人だったのですね…あれもまたかなり個性的で存在感のある役でした。

もう一人どうしても、あまりいい意味ではなく気になってしまったのはTaejo Togokahn役のRain(ピ)です。「(ピ)」っていうのは何だ、というのは置いておくとして、「俺が日本人の役をやるのはおかしい、俺の役を日本人から韓国人に変えてくれないか」などと言って元々日本人の設定だったものを韓国人に変えてもらったのだということです。これも反日教育のせいなので仕方ないのかと思わないでもないのですが、実はあまりいい役ではないのでかえって良かったのかもしれません。逆にこのストーリーのまま日本人の設定だったとしたら恩を仇で返されたように感じていたことでしょう。まあ、なぜか妹は「ハルコ」のままですし、父親役は日本人だったようなのですが。

他に日本からは真田広之が武者モーターズのオーナー、武者氏の役で出演していますが、ハリウッド作品で日本人というと真田広之と渡辺謙という「ラストサムライ」に出たどちらかばかりですね。やはり何か足がかりがないとなかなか世界に出ていくことはできないものなのでしょうか。

ということで、この作品の映像は素晴らしかったのですが、レースシーンがあまりに非現実的だったのは原作を忠実に再現していたということで仕方ないものの、実写化してしまったことで中途半端に現実味を帯びてしまい、ちょっとしらけた感じを受けてしまいました。また、ストーリーもひねりが感じられず、大人が観るべきものではなかったかもしれません。12000万ドルもの制作費をかけたようですが、アメリカでもあまり興行は振るわないようです。あの「マトリックス」シリーズのウォシャウスキー兄弟が作った、といっても実は「マトリックス・レボリューションズ」以来の作品なのですよね…ちょっと期待が大きすぎたのかもしれません。