タイムマシンタイムマシンは実現する!?

皆さんは「タイムマシン」といったら何を思い浮かべるでしょうか?やはり多くの日本人にとってはドラえもんのタイムマシンでしょうか。あるいは映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズのデロリアンでしょうか。はたまたタイムマシンそのものの起源であるH. G. Wellsのそれでしょうか。いずれにしてもタイムマシンというのは空想の産物だというのが常識でしょう。

しかし、物理学者の間ではタイムマシンの実現性について真剣な研究が続けられており、そんな研究者の一人であるプリンストン大学教授J. Richard Gott氏の著書「時間旅行者のための基礎知識」というのを見つけました。何気なく宇宙関連の本を見ていたときだったのですが、装丁がオシャレな感じで面白そうに見えたのです。

時間旅行者のための基礎知識
翻訳:林 一
草思社 (2003/08/05)
ISBN/ASIN:479421233X

最初の章では小説や映画に登場する様々なタイムマシンを紹介し、それを理論的な説明を付けていくという形になっていて、とてもわかりやすく引き込まれていきます。私が先日映画「コンタクト」を観たのも実はこの本で紹介されていたからなのですが、おそらくGott氏は仕事柄タイムマシンがちょっとでも関わっているとなると片っ端から観ていっているのでしょう。他にも私がこれまでに観た映画がいくつも紹介されていて、それがあながち嘘っぱちばかりではないということは非常に興味深いものです。

しかしその後、話はどんどん難しい方向に進んでいきます。何しろ著者は宇宙物理学者ですから、Einstein一般相対性理論をベースに説明してくれるわけで、色々なたとえ話を用いてはいるもののやはり難しいものは難しく、私には半分も理解できているのかどうかというような感じです。そもそも物理現象を方程式で解くと言われても…いや、一応理工学部出身ですからある程度はわかりますけどね。

そんなことなので理系の基礎知識のない人にはおそらく全くチンプンカンプンではないかと思われるのですが、いくつかの前提を置けば理論的にはタイムマシンを実現できる、というのはとても夢のある話ではないでしょうか。まあその前提というのが「光速に近い速度で移動」とか「木星と同等の質量の殻で囲む」といった今の科学技術では非現実的なものではあるのですが…

しかしこういったことを「非現実的」と決めつけてしまわず、あらゆる可能性を考えて基礎的な研究を続けるということが科学技術の進歩に最も重要であることは疑いようのないことです。目先の効果にとらわれず、堅実に取り組んでいる人がどれだけいるか、ということが将来的な国力にも繋がるのでしょうから、日本の教育・研究機関もこういった分野を蔑ろにすることのないようにしてもらいたいものです。現状がどうなのかは知りませんが。