Iorek Byrnison本当に子供向け?

先日「ライラの冒険 黄金の羅針盤」を読んでなかなか楽しめたのですが、そのまま中途半端な状態で終わらせるわけにはいかないので第2巻の「神秘の短剣」と第3巻「琥珀の望遠鏡」を図書館で予約していて、それを先週末に借りることができたので、それ以来早速読みふけっていました。

しかし、予約した本を窓口で受け取るときに驚いてしまったのはその分厚さでした。第2巻の方は400ページ強なのでまだ予想の範囲だったのですが、第3巻の方は670ページほどもあり、ハードカバーも含めた厚みは43mmもあります。一応児童文学とされているので行間は広く取られていて、1ページに19行ということにはなっていますが、それほど活字が大きいわけでもなく、ところどころに振られているふりがなが不似合いにも思えます。

それはともかく、第1巻の舞台は私たちの世界と並行して時間の流れているパラレルワールドの一つ、人間がみな「ダイモン」という分身を持っている世界でしたが、第2巻はまさに私たちの世界から始まります。この私たちと同じ世界の住人であるウィルは別の世界へと繋がる「窓」を見つけ、そこでライラに出会うことになり、物語が進行していくことになります。

第1巻ではあくまでライラの世界で起こる出来事であり、良くあるファンタジーとそれほど違いはないように思いましたが、第2巻以降ではこれが複数の世界を股にかけての物語となり、スケールが大幅に大きくなっていきます。それに伴って哲学的な色や宗教的な色も濃くなっていて、子供向けのファンタジー作品にしては難しい話になっているのではないでしょうか。まあ、子供が読むときはそのあたりはサラリと流して、大人は色々考えながら読むということでいいのかもしれません。

また、第2巻以降も映画化が予定されているのだと思いますが、第1巻とは比較にならないほど幻想の世界が拡がっているので、映像化は桁違いに難しくなっているのではないでしょうか。まあ現代のCG技術であればむしろ下手に実写を使うよりも楽なのかもしれませんが、安っぽくならないように仕上げるというのは今の技術だからこそできることかもしれません。

第1巻の時には「宗教的」というのはキリスト教的な物を指しているのかと思っていたのですが、実際はキリスト教に対する批判とも取れるような内容で、ちょっと意外でした。まあいずれにしてもキリスト教の教義を知らないと何を言いたいのかは掴みにくいかもしれませんが、カトリック界には「ハリー・ポッターの百万倍邪悪だ」と言われたということです。ただ、その程度で済むのは相手がキリスト教だからであって、もしもイスラム教に対して同じことをしようものなら…