Umami Burger確かにこれはこれで美味い。

ハンバーガーというのは日本人にとってのラーメンやカレーのようなもので、アメリカ人にとってのソウルフードということができるのではないでしょうか。マクドナルドやバーガーキングなどのファーストフードチェーンのものは安さと早さを追求しただけのものですが、一般のアメリカンのレストラン等で食べられるハンバーガーは基本的にハズレを引くことが少なく、どこでも非常に美味しいものを食べることができるように思います。

そんな中にあって、ハンバーガー一本に勝負をかけているような専門店は日本のラーメン屋のようなもので、非常なこだわりを持って特に美味しいものを提供してくれます。以前ニューヨークに行った時に食べたShake Shackはファーストフードの形態を取っていますが、未だにここのものを超えるハンバーガーには私は巡り会っていません。今年春にニュージャージーまで行った時にもShake Shackを訪れ、それを再認識してきたところです。

東海岸のニューヨークを中心に展開するShake Shackがあれば、一方西海岸のロサンゼルスにはUmami Burgerという店がある、というのを知人に教えてもらったことがあります。その知人は先にUmami Burgerを体験し、その後Shake Shackに行ったようなのですが、曰く「同じくらい美味い」ということだったので、私も一度Umami Burgerに行ってみなければと思っていました。しかしロサンゼルスは遠いですし、家族で旅行に行くようなところでもなさそう、ということでなかなか機会がなかったわけですが、なんとこの秋シカゴに開店するらしいという情報を得て、俄然現実味が出てきたのでした。

私の自宅からシカゴまでは車で4時間少々で行くことができます。日帰りできない距離ではありませんが、シカゴまで行ってハンバーガーだけ食べてくるというのはいくら私でももったいないと思うので、シカゴ近郊にあるミツワという日本食材スーパーに行って、フードコートで山頭火のラーメンを食べてくるというコースを家族に提案したところ、うまい具合に乗ってきたので決行することになりました。実はこのサンクスギビングには家族を置いて1人日本に出張の予定を入れてしまったので、折角の連休に放ったらかしにしてしまう罪滅しのような意味もあり、その直前に行って来たのでした。

といっても取った休暇は1日だけで、その前日にちょっと早めに帰宅して4時に自宅を出発したのですが、道中は所々で渋滞があり、特にシカゴ市内に入ってからの渋滞が酷く、結局Umami Burgerに辿り着くまでには5時間以上かかってしまい、1時間の時差を差し引いて夜8時をまわってからでした。それでも席に付くまでには30分待たなければならず、その後も続々人がやってきて、回転間もないとはいえ大人気でした。
The Original
前菜代わりにサラダとフレンチフライ、スイートポテトフライを注文して待ち、満を持してやってきたのはThe Originalという名の、この店で最もスタンダードと思われるバーガーです。しかしながらシイタケや焼きトマトも入っているということでオーソドックスというわけではなく、特徴のあるものが期待されました。外観としては上部が丸く厚みのあるバンズと、焼かれてパリパリになった平たいチーズ、均一な厚みをもち側面が立った円柱状で1cm以上はある分厚いパティが特徴的です。パティがバンズの外にはみ出ないことで食べやすいということもありますが、それ以上に見た目がきれいでした。

ひとしきり眺めて写真を撮ったあと、おもむろにかぶりついてみると、濃厚なソースに絡められたシイタケとトマトのおかげで、非常に味わい深いものでした。パティからも肉汁が溢れ出てきますが、バンズの内側がカリカリに焼かれているおかげで汁が染みこんでぐちゃぐちゃになってしまうこともなく、きれいに美味しく食べることができます。一口食べてハッとするような感動はありませんが、食べているうちにじわじわと美味しさがやって来るような、まさに味わい深いというのが私の印象です。また、バンズはふっくらというよりもしっかり実が詰まっている感じで、食べ応えがありました。

なお、オーダー前にとても愛想のいいウェイターから説明がありましたが、このUmami Burgerではパティは毎朝店で挽き、バンズも店で焼き、とすべての食材を手作りしていることを売りにしているそうです。それは食べただけですぐに分かるものではありませんが、安心に繋がるといえるでしょう。

実際に体験してみると、Shake Shackとは様々な点で異なっていました。まず、Shake Shackがあくまでファーストフードの形態でセルフサービスとなっているのに対し、Umamiはフルサービスのシットダウンレストランです。そのため、価格にも大きな差があり、Shake Shackのバーガーは$4程度である一方、Umamiでは$12程度出さなければなりません。さらに、バーガー自体もShake Shackがシンプルなメニュー構成ながらレタスの緑、トマトの赤、チーズの黄色が鮮やかで見た目にも美しいものであるのに対して、Umamiでは野菜はサラダを別に注文するべきでしょう。このサラダもとても美味しかったのですが、その分お金は必要です。

結局のところ、これだけ違うと直接比較できるものではなく、それぞれ美味しい、というのが結論となりそうです。UmamiはUmamiなりに非常に美味しいけれど、Shake Shackを超えるというものではない、ということです。