うどん - 茹でる前なんでもやってみるもんだ。

アメリカに住んでいると言うと日本食が恋しいだろうと思うでしょうが、実はまったくそんなことはありません。ミシガンにも味の方はピンキリながらも日本食レストランはいくつもありますし、日本食向けの食材もナマもの以外は簡単に手に入るため、家で妻が作る料理は日本にいる時とあまり変わっていないので普段あまり意識することはありません。しかし、「美味しい日本食」となるとなかなか難しく、例えば海のないミシガンでは基本的にシーフードは冷凍なので、冷凍マグロやサケの刺身は食べられても「美味しい刺身」にはありつけません。また納豆なども冷凍になってしまうので、一時帰国の時に食べた極普通の納豆の美味しかったこと…それを言うと生卵も危険で食べられないので、卵かけごはんも堪りませんでしたが。

それはさておき、私が最も恋しかったのは何でもない「うどん」でした。もちろんうどん自体はその辺の日本食レストランで食べることができます。しかし、そんなうどんの麺はもちろんどこかから仕入れてきた冷凍うどんなどであって、私が食べたいようなものとは違います。うどんだけで勝負している店のような、コシのあるピカピカした麺が恋しいのです。しかし、そんなことを言っても、うどん専門店を作ったところでなかなかアメリカ人には通じないでしょうし、こちらにいる日本人だけでは商売になりませんので仕方ありません。

しかし、うどんを打つこと自体はそんなに難しいことではない、というのは以前読んだ本に書かれていました。先日ある人と話をしていてそれを思い出したのですが、今日の午後ちょっと時間があったので夕食に向けて打ってみるか、と突然思い立ち、やってみることにしました。実は最近、日曜日の朝食にはホームベーカリーでパンを焼いて食べているので、強力粉も自宅にあります。

うどんの材料は非常にシンプルです。うどん用の小麦粉は本来は中力粉なのですが、強力粉と薄力粉を混ぜることで代用できます。コシの強いのが好みだという人は強力粉を多めにすれば良い、ということだったので、私は4人前として下記の分量を使用しました。

  • 強力粉: 300g
  • 薄力粉: 100g
  • 食塩: 15g
  • 水: 200ml

まずはこれらを混ぜあわせてまとめるのですが、ここはホームベーカリーの生地作りの機能を使って混ぜてもらうことにしました。手で混ぜる場合には食塩を水に溶かしてから、何回かに分けて粉にかけて混ぜ合わせるようにすれば良いようです。そうして混ざったものをビニールの袋に入れて、粉っぽさが無くなるまで袋の上から手で揉みます。その後は袋のまま足で踏むなりして平たく延ばし、それを畳んでまた延ばし、というのを15分くらい繰り返せば「打つ」作業は終わりです。丸めた状態で密封し、布団の中などで2時間程度寝かします。
うどん - 茹でた後
2時間後は台の上で打ち粉を振りながら2回ほど延ばしては畳みを繰り返し、最後に3mmほどの厚みになるように延ばして広げます。といってもそんなことは簡単にできるわけもないのですが、上の4人前の分量だと40cm四方くらいになるようなので、それを目指して広げます。しかし、打ち粉を振りすぎたせいなのか上手く広がってくれず、直径30cmほどになってしまいました。ということは、だいぶ太めになってしまうわけですが、それが今日は限界でした。

また打ち粉を振りながら広げたものを折り畳みますが、今度はくっついてしまわないようにしなければいけないので、打ち粉はたっぷり振った方が良いと思います。そうして畳んだものを包丁で切っていくのですが、茹でると太くなるので細過ぎるかなと思うくらいにしなければいけません。切ったあとはまたくっついてしまうので、打ち粉をまぶしておいた方がいいでしょう。

後はなるべくたっぷりの沸騰した湯で茹でるだけですが、自分で適当に切った太さなので最適な茹で時間などわかりません。今回は13分ほど経ったところで一度食べてみるとまだだったので、16分まで待ってまた食べてみるとちょうど良かった、というような具合です。やはり太めなので茹で時間もだいぶ長くなりました。この後は冷水でしめて、ザルに上げました。

見た目は伊勢うどんのような極太麺になってしまい、また大変なコシの強さになったので、麺としてツルツルとすするよりもしっかり噛みながら食べるような形になりました。しかし、味の方は良く出来て、家族の評判も良かったようです。さすがに日本の専門店とは勝負になりませんが、一時しのぎとしては上々でしょう。延ばすのに力は要りますが、難しいことは特になく、また材料費もかからないので、時間のあるときにまたやりたいと思います。