JR東海が2027年の開業を目指して工事を進めていたリニア中央新幹線ですが、その2027年度の開業を断念する方針が明らかになったと報じられています。2027年というと今からわずか3年後ですから、とてもそんな状態でないということは誰もがわかっていたことですが、それが方針として打ち出されるとやはり残念です。

その原因は静岡県内の南アルプストンネルの工事を巡って、静岡県と未だに合意ができていないことにあります。静岡県は水源である湧水がトンネル工事によって静岡県側への流量を減らしてしまうことを問題視していますが、端から見ていると静岡県の主張は反対のための反対のようにしか見えず、県内の主要都市に停車駅が作られないことに対する嫌がらせのように見えてしまいます。

リニア中央新幹線はJR東海が資金を負担して行っている事業であり、従来の新幹線工事のような国家事業ではないため、JR東海側が強引に進めることもできませんし、県側も強く出ているように見えます。しかし、第三者である潜在利用客から見れば工事が遅れることは迷惑でしかありませんし、これで仮にJR東海の経営が悪化してリニア中央新幹線そのものが頓挫してしまうようなことにでもなれば大問題です。

水源への影響は軽々しく考えることができないのは確かだと思いますが、あまりに立て板に水な静岡県の対応は好ましい印象を与えるものではありません。静岡県民の方々がどう捉えられているのかわかりませんが、部分的に工事がだいぶ進んでいる箇所もあるようなので今さら静岡県を迂回するということもできないでしょうし、どこか妥協点を見つけてもらうしかないでしょう。

東京ー名古屋間が遅れれば名古屋ー大阪間もその分遅れてしまうのでしょうから、私が生きている間にリニアの恩恵に与ることができるのか心配になってきました。とりあえず名古屋まででも開通すれば乗ってみるということはすると思いますが、乗り換えの手間を考えたらわざわざ東海道新幹線から乗り換える実用的なメリットはありませんよね。いっそ名古屋ー大阪間を先に着工してくれればいいのですが、それはさすがにありえないでしょう。