磁気式のテレホンカードの偽造が相次ぎ問題となったため1999年から街頭に配備されていたICカード公衆電話ですが、登場からわずか7年で早くも姿を消すことになったそうです(NTT東日本)。

携帯電話の普及で公衆電話を利用することはめっきり減りましたが、すべての人が携帯電話を持っているわけでもなく、またバッテリー切れなどいざというときにもないと困るので、公衆電話が完全に撤廃されるということはないでしょうが、ICカード式の公衆電話については完全に失敗だったといえるでしょう。登場時にはすでに携帯電話が一般化していましたし、すでに十分に普及していた磁気カードに対して利便性で劣るICカードがユーザに受け入れられにくく、私も含め「一度も利用したことがない」という人も多いのではないでしょうか。

磁気カード式のものでも一部装備されているものもありますが、赤外線通信ポートが備えられているので、ごく一部ではPDAのインターネット接続等に利用できるということで好評だったようですが、それは定額PHSや無線LANが普及するまでの過渡期のことで、現在ではそんなニーズも消え去ってしまったでしょう。

結局遅きに失した、といったところかと思いますが、それは登場時から「何をいまさら」といった感じだったので、偽造テレカ対策に追われて市場を見失っていたということなのでしょう。公衆電話事業自体が赤字続きということで、開発コストの回収など全くできていないことでしょうから、NTTに失敗であったということでしょうが、そのコストは結局利用者に跳ね返ってきてしまいます。現在は固定電話も直接NTTと契約せずに利用することができるようになっていますが、赤字部門の補填のせいで他の事業者の回線仕様料が下がらないということで間接的に負担させられてしまうのです。事業計画の失敗による損失分を負担させられるということには問題があるのではないかと思いますが、公衆電話事業を完全にやめられてしまっても困るので仕方ないのでしょうね…

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