従軍慰安婦の問題を扱ったNHKの特集番組が自民党の政治家からの圧力で放送直前に内容を改変された、という朝日新聞の記事をめぐる両者の対立は、NHKが朝日新聞社に対して公開質問状を突きつけるなどますますヒートアップし、まさに泥沼の様相を呈しつつあります。報道機関同士の対立ということで他のメディアも大きく取り上げていますが、これに対して一般の人の印象は「どちらを信じていいのかわからない」「どっちもどっち」といったような感じで、ちょっとさめた目で見ているようなところがあるのではないかと思います。

朝日新聞側の主張は社説にもありますが、他のメディア以上に公正な立場にいなければならないはずのNHKが、番組の放送内容を事前に政治家に説明するということを日常的に行っていたのだとすると、かなり問題があるのではないかと私も思います。

しかし、私が聞いた限りの印象では、「改変」前の番組内容は制作に協力したNGO側にかなり偏っていて、それを問題がない程度に公平になるよう変更した、というようなので、その「改変」行為自体には問題がなかったのではないかと感じました。したがって、番組スタッフ側は「圧力がかかった」と感じたようですが、それは政治家からのものというわけではなく、NHK内部の上層部独自の判断であったという可能性も否定できません。

元になっている問題が従軍慰安婦問題に対する天皇の責任を問うものでもあったため、毎日新聞は基本的に朝日新聞を支持する立場のようですが、産経新聞はNHK側、とメディア全体を二分する状況になりつつあります。しかし、本質的には報道への政治の介入という問題でもあるため、事実をはっきりさせる必要があるということはどちらの立場でも主張されていることで、私としても白黒はっきりするまで見守りたいと思います。読売新聞の社説では今のところ無視を決め込んでいるようですが…

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