またまた今年最もホットな東海地区の話題ですが、愛知万博の一つの目玉ということで日本初の営業運転となる磁気浮上式リニアモーターカー路線「リニモ」が開業しました。JRの超電導磁石による反発力を利用したものとは違い、常電導磁石の吸引力を利用したHSST方式で、磁路が閉じているために小さい磁力で済む反面、反発式のものより空隙が小さいために制御が難しいということですが、21世紀の技術で実用化を果たしたというところでしょうか。リニア中央新幹線の方はまだまだ実用化の目処が立たないようで非常に待ち遠しいところなのですが、リニモの方も最高時速100km/hとのことで、そこそこのスピードが出るようです。

ところでリニアモーターカーというと磁気浮上すると思い込んでいる人も多いのではないかと思いますが、リニアモーターというのは駆動機構の名称で、一般のものが回転モーターというのに対してリニアモーターというものなので、レール式の浮かないリニアモーターカーなら大阪市営地下鉄長堀鶴見緑地線や東京都営地下鉄大江戸線で既に以前から営業運転されています。これらの地下鉄でリニアモーターが採用されているのは、台車を小型化してトンネルの断面積を小さくできるということと、車輪の摩擦力が駆動力に影響しないので登坂性能に優れるということが理由となっています。

リニモは国内初の磁気浮上ということですが、海外では既に営業されている路線があります。磁気浮上式のリニアモーターカーは英語ではMagLev(= Magnetic Levitation)と言われるようですが、バーミンガム空港で2003年から供用されています。また上海空港から市内を結ぶ高速列車もドイツの技術による磁気浮上式のリニアモーターカーが採用され話題となりました。技術立国を自負する日本としては世界初の実用化を目指したかったところですが、惜しくも先を越されてしまいました。そんな自負自体が最近では幻想に過ぎないような気もする今日この頃ですが…それでも完成度はリニモの方が上でしょうから、私もぜひ一度乗って味わってみたいものです。

リニア中央新幹線の方は実験線での試乗会を定期的に実施して少しでも世論を盛り上げようとしているようですが、500km/hでの営業運転となるとなかなかハードルが高いのでしょうね。建設コストもかなりかかるでしょうから、バブル期ならともかく景気が大幅に後退した今の日本では実現はかなり難しいのではないでしょうか。東京-大阪間を1時間と言われるとかなり魅力的ではありますが、今の2時間半かかるのぞみの2.5倍の料金となったらなかなか使えませんからね…

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