GMグループ傘下にあって今一つ特色の出し切れていないスバルこと富士重工業ですが、昔から四輪駆動水平対向エンジンには拘り続けている一本筋の通った感じに私は好感を持っています。20年ほど前にスイスに行った時、まだフルタイム4WDというものが一般的ではなかったのですが、当時は「四駆と言えばスバル」というのが世界的に通説となっていて、見かける乗用車のうち感覚的には8割がスバルで、そのほとんどがレオーネだったというのが非常に印象的でした。

もう一つの拘り、水平対向エンジンについては、今自動車用として量産しているメーカーはスバルとPorscheくらいですが、水平対向とした場合には爆発が等間隔になる、ピストンの移動による振動を相殺しあう、エンジンの高さが低くなるので重心を低くすることができ車両の回頭性が良い、ピストンの移動が水平方向になり重力の影響を受けないので加速レスポンスが良い、というようなメリットがあるとされています。反面、直列エンジンに対してはシリンダーが左右に分かれるため構造が複雑になり部品点数が増え、重くなる、シリンダーが横向きになるので潤滑が難しくなる、というようなデメリットもあるようで、量産するためにはそれなりの技術の蓄積が必要と考えられます。

そんなスバルが水平対向ディーゼルエンジンを開発中であると明かしたそうです。ディーゼルエンジンは圧縮比の高さから振動・騒音が大きく、重量が重くなりがちですが、水平対向とすることでこれらの弱点を抑制することができているとのことで、非常に期待が持てるのではないでしょうか。排気量は2リッタークラスということですので、まずはレガシィへの搭載を目指しているということでしょう。

現在ヨーロッパでは電子制御ディーゼルエンジンが普及し、その燃費の良さとクリーンさ、太いトルクから環境に優しく高性能なエンジンとして人気があります。一方日本では燃料用軽油の品質が良くなかったこともあって高性能ディーゼルエンジンの開発・普及が進まず、整備不良車両による黒煙が問題となって逆に法令により規制を受け、事実上乗用車にはディーゼルエンジンが搭載できないような状況になってしまっています。また北米ではガソリンの価格が日本の半額程度と安かったということもあって、ディーゼルエンジンは全く普及しておらず、大型車でも多くがガソリンエンジンというような状況でした。

しかし、原油価格が過去最高値を更新し続けている今、高い燃費性能を誇るディーゼルエンジンが世界的に脚光を浴びる日もそう遠くはないでしょう。今の日本の自動車メーカーはディーゼルエンジンの技術を持っておらず、ヨーロッパでは海外のメーカーから供給を受けていたりしていますし、核となる制御についてはRobert Boschが技術を握ってしまっているような状態です。とはいえ、当然そんなことは自動車メーカーの人は承知していて、各社鋭意開発中というところでしょうから、日本のモノづくりの技術の粋として今後素晴らしいものを出してくると信じて、私はさほど心配はしていません。

さて、水平対向ディーゼル搭載レガシィが登場するのは一体いつになるでしょうか。当初の価格は高くなってしまいそうですが、かなり惹かれるものがあり、ひょっとしたら買ってしまうかもしれません…とにかく今は楽しみに待っていることにします。

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