先日コンビニのレジ前でも売られているのを見てちょっと驚いたのですが、「ほっとけない 世界のまずしさ」というコピーで300円で売られているホワイトバンドというものがあります。世界同時進行ということで主要先進国でそれぞれ似たようなプロジェクトが行われているのですが、実は結構内容は違うということです。共通するのは白い樹脂のバンドを買って腕に付けてもらおう、ということなのですが、単にそのバンドに書かれている文字が違うというだけではなく、その価格と得た資金の使途も似ているようで全く違うようで、一部方面ではちょっとした騒ぎになっています。

問題提起しているホワイトバンドの問題点を見ていただければわかるのですが、300円で売られている日本版ホワイトバンドは寄付ではないので、ホワイトバンドを購入してもその1割が「貧困問題の解決に資する政策変更のための活動」に使われるだけで、貧しい人々のために直接使われるわけではないのです。私も当初誤解していましたが、キャンペーンサイトでも「『貧困をなくす政策をみんなで選択する』意思表示です」と言っており、確かに一切「寄付する」とは言っていません。

しかしそれにしても、1割しか使われないということは当然ながら積極的には述べられておらず、ましてや販売されている店頭では全くわかりません。売られているのを偶然見付けて軽い気持ちで「たまには寄付もいいかも」と思って買っただけの人は、最後まで「自分は貧しい人々のための寄付をしたのだ」と思っていることでしょう。

例えばアメリカのホワイトバンドONEはその名の通りわずか1ドルで売られており、より気軽に参加できるプロジェクトになっているだけでなく、活動資金に使われるようなこともないそうです。イギリスのMakePovertyHistoryは1ポンドと若干高くはなりますが、それでも300円と比べれば全然安いものです。

300円のうち残り9割、271円は制作経費、広報活動費、流通費に消えるということですが、これらは全て特定の企業の利益になるということにほかなりません。結局、慈善活動の体をした営利行為でしかないのです。もちろん何かのアクションを起こすためには資金が必要だというのはわかります。有名タレントを何人も使ってテレビCMや新聞の全面広告を打ったりすれば当然かなりの金がかかることでしょう。しかしそれは本当に必要なことで、人々の善意と投資に見合う成果が得られるものなのでしょうか。だいたいあの安っぽい樹脂のバンドに86円もの制作経費がかかるものでしょうか。アメリカでは1ドルで売られているというのにです。

公開されている「ホワイトバンド¥300(税込)の内訳目安と使途」を見ると3割が「世界の貧困をなくすための活動費」ということになっていますが、その中には広報活動費が含まれてしまっています。また、集めた資金によって具体的にどういう活動が行われるのかについても非常に曖昧に感じます。

私は「ほっとけない」というフレーズが例のMottainaiにかけているような気がして、どうもすんなり受け入れられずに購入には至らなかったのですが、もしもこれが募金詐欺の一種なのだとしたら人々の気持ちを踏みにじるような行為で許し難いことです。もちろん活動自体が正当に行われ、実際に政策に影響を与えて貧困を改善する方向に動くのであれば全く問題はなく歓迎すべきことですが、それでも300円の正確な使途内訳についてはもっと明らかにすべきでしょう。まさか人々から資金を集めてこれだけ大々的に活動したた後で「失敗だった」というようなことはないでしょうね…

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