Bowling for Columbine911テロを題材にブッシュ大統領の再選阻止を狙ったドキュメンタリー映画「華氏911
」(“Fahrenheit 911”)や著書「アホでマヌケなアメリカ白人」で有名なMichael Moore監督によるドキュメンタリー作品「ボウリング・フォー・コロンバイン」を観ました。

ボウリング・フォー・コロンバイン
ジェネオン エンタテインメント (2003/08/27)
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この作品は1999年に起こったコロンバイン高校銃乱射事件をきっかけとしてアメリカで簡単に銃を購入できる現実と、その銃による殺人事件の問題を取り上げ、なぜアメリカでは銃による殺人が多発するのかということを主題としたものです。日本にいるとなかなかわからないものですが、この映画を観ていると恐怖と緊張を強いられるような気がして、とてもアメリカに住もうなどという気にはなれなくなります。

私はMichael Mooreのどの作品も観たことがなく、またドキュメンタリー映画というのもほとんど観た記憶がないのですが、120分に及ぶ作品を通して様々な角度からこの問題に切り込むムーア監督のメッセージがひしひしと伝わってくるのを感じました。全米ライフル協会前会長である映画俳優Charlton Heston氏へのインタビューで締めくくられるのですが、相手が完全に逃げ腰となってしまっているのは理屈が通らないのを自覚しているからなのでしょう。殺人にしか使えないような銃が合法的に売られていて、「護身用」と称してそれらを一般市民が手にしているというのはどう考えても異常な社会です。

ただ日本で銃の販売・所持が合法であったとしても、果たして同じような状況となるかというのは少々疑問が残ります。作品中にもありますが、アメリカの歴史を振り返ると結局は奴隷制度を発端とする人種差別の問題が根源にあるというのは間違いのないところで、白人至上主義によるものだということをヘストン氏も認めてしまっています。

この作品の中で、犯人らが弾丸を購入したというKMartはその取り扱いをやめることを約束することになりましたが、この作品が高い評価を得たにも関わらずアメリカでの銃の問題は一時的に取り上げられるだけで終わってしまったのでしょうか。どれだけ同じような事件を繰り返したとしても、暴力になれてしまったこの国の人々はどうにもならないのかと思うと本当に残念です。

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