Bluetooth縛りから解放されて自由を満喫。

Motorolaと聞いて最初に思い浮かべるのはMC6809などのMPUという人が多いでしょうか。FM-7など日本でも多くのパソコンに搭載されたポピュラーなプロセッサですが、その後継の16ビットプロセッサであるMC68000が初代Macintoshに搭載され、その後PowerPCもMacに採用されていたことで、ちょっと前までのMacユーザにも馴染みが深いかもしれません。しかしこのMPUを扱う半導体部門はFreescale Semiconductorに分離され、今では資本関係もなくなってしまいました。

また、私の設計している製品の直接の競合相手でもあったのですが、その部門も最近売却されてしまいました。さらにRAZRなどの携帯端末も比較的大きなシェアを持っていたのですが、こちらも売却されてしまい、今はいったい何が残っているのかと心配になってしまいますが、このMotorolaというのはもともと通信機などに強みを持っている会社のようで、携帯電話を売っていたこともあってかBluetoothで接続するヘッドセットにも力が入っているようです。

最近iPhoneで音楽を聴くようになって、今まで仕方がないと思っていたヘッドフォンの接続コードがBluetoothを使えばコードレスにできるとなると急に煩わしく感じられてきて、何かいいものはないかと探していたとき、MotorolaからS305というネックバンドタイプのヘッドセットが発売されると知り、これまでいくつかのネックバンドタイプのヘッドフォンを愛用していた私は「これだ!」とばかりに飛びついてしまいました。

届いた製品を実際に見て、最初はその安っぽさの漂う外見にガックリ来てしまったのですが、まあ使っているときに自分の目に触れるものではないからいいか、と無理やり自分をなだめておくことにしました。プラスチッキーなボディにメッキパーツを使うと余計にチープに見えるのではないかと思うのですが、売価8000円ほどの製品にこの品質が相応だと判断したのでしょうか。

まあそれはともかく忘れておくとすると、ネックバンドの締め付けはかなりゆるめで、左右から押さえる力よりも耳に掛けて支えておくタイプのようです。これはこれで耳に対する圧迫感がなくていいかもしれません。本体の操作部は全て右耳のユニットに集中していて、電源、音量調整、再生・停止、通話、スキップといった操作ができるようになっていて、操作感は悪くありません。しかしながら現在のiPhoneではBluetoothでのスキップには対応しておらず、曲送りはiPhone本体で行わなければならないのが残念です。

Bluetoothでの接続についてはiPhoneのBluetoothを有効にしておいてからS305本体の電源を入れるだけで簡単に認識し、接続することができました。しかし、使用する周波数帯が重なっているためかWi-Fi環境との相性が悪いようで、Wi-Fiの信号が強いところではBluetoothの接続が不安定になり、接続しづらかったり音が途切れたりといった現象が見られるようです。通勤経路上にもWi-Fiの電波が強いところがあるようで、そこにさしかかると不安定になるというのはちょっと予想外の問題でした。

音質の方は可もなく不可もなくというか、大きめのユニットを使用しているので無理のない自然な音を聴かせてくれますが、驚くほどいい音というわけでもありません。さすがにそんないいことずくめのはずもないのでそれほど期待していたわけでもありませんが、ガッカリするようなこともありません。

ただ、音声信号を圧縮して無線で飛ばしている以上仕方のないことなのですが、思っていた以上の遅延があります。だいたい数百msec程度の遅延なのだと思うのですが、曲をスキップしたときの反応がもたつくように感じられたり、キーボードをタイプしたときのクリック音がずれて聞こえたりというのは、一度気になり出すと気になって仕方がありません。やっぱり全てが上手く行くものではないのだなあという感じですが、それでもコードレスになったメリットには代えがたいので、我慢することにします。とりあえずクリック音は消しておけばいいのですけどね。

[2009-08-04 追記]
もしやと思いiPhoneの設定でWi-Fiを「オフ」にしてみたところ、Bluetoothの接続の不安定さは一挙に解消され、さらに音声の遅延も気にならないレベルまで改善されました。キーボードのクリック音も問題ありません。Wi-Fiが使えないと自宅にいるときなどのインターネット接続が遅くなってしまいますが、普段は特に使えなくても問題ないので必要なときだけオンにすれば良さそうです。