Duke of Cambridgeもしもこの時ロンドンに居られたら…

いわゆる先進国の中にも立憲君主制を布く国はいくつかありますが、やはり一番王室の存在感があるのはかつての大英帝国で絶大な権力を示したイギリスです。現在のQueen Elizabeth IIは今年で59年という長きに渡り在位していますが、イギリスのみならず連邦16カ国の女王として85歳という高齢になった今でも活発に公務をこなしており、様々な議論の的になりながらも国民に愛され続けています。

そういう君主に対する敬愛の情というものは皇室を持つ日本人には理解の難しいものではないと思いますが、王室や皇室というものを持たないアメリカ人に聞いてみると「自分たちにはないのでよく分からない」とのことです。自分たちにも欲しいかというと、それも分からないと。初めからいなければいないで特に困ることもないのでしょうが、その代わりの何かに権威付けていたりするのを見ると、なんとなくかわいそうなような気になることがあります。

それはともかく、近年あまり良い出来事のなかった英国王室にとって、昨日はPrince CharlesDiana Spencerの結婚式以来の慶事、Prince WilliamCatherine Middletonの結婚式がウェストミンスター寺院で執り行なわれ、聖堂の中が世界各国からの出席者で埋まっただけでなく沿道にはたくさんの人がユニオンジャックを手に集まり、また日本のほか世界中に中継されたため多くの人々がテレビの前で見守ったことと思います。

29歳のWilliamの後頭部にも注目が集まったかと思いますが、Catherineの美しさには息を飲むばかり…というのは大げさでしょうか。しかし、身長が高いこともあってシンプルでありながら華やかで優雅なウェディングドレスが非常によく映えていました。やはりいずれイギリスの王妃となる人なのですから、ああでなければなりません。

また、花嫁の付き添いbridesmaidを務めたCatherineの実妹PippaことPhilippaにも注目が集まりました。姉のウェディングドレスと同じくAlexander McQueenの純白のドレスを纏ったPippaは健康的な美しさを振りまいていたため、昨日以来「英国で最も結婚するのにふさわしい独身女性」などという声もあるようです。

結婚式は荘厳なもので、重厚な演奏と合唱団の歌声が美しく響くものでしたが、式の内容自体は恐ろしく大規模で豪華・贅沢である以外、私が挙げた結婚式と同じものでした。というのも、私は日本聖公会の教会で挙式しているのですが、この聖公会というのはすなわち英国国教会Church of Englandなので当たり前といえば当たり前なのでした。しかし、王室だからといって特別なものではないのだというのは初めて知りました。

唯一違ったといえば国歌の斉唱があったことでしょうか。英国国教会の長もまた女王ですが、さすがに普通の結婚式では国歌を歌うことなどないでしょう。ここでまた初めて知ったのは、このイギリス国歌は女王は歌わず、夫君のPrince Philip以下ほかの王室メンバーは歌うのだということです。この国歌は”God save our gracious Queen,”で始まる女王を讃える歌なので女王が歌わないのは当然なのですが、家族であっても家臣のうちなのかというのが新たな認識でした。日本の「君が代」も天皇の御代を讃える歌ですが、皇族が歌うイメージはありませんよね。

ということで色々興味深かったロイヤルウェディングですが、私自身にとって印象的だったのは聖堂の中に緑の茂る木を立ててしまったところと、式の前後に美しく響き渡る鐘の音でした。あのような鐘の音が聴けるところは日本中どこにもないでしょうからね…それだけでもイギリスに行きたくなってしまいました。