Automaticそばにいるだけで♪

Googleの自動運転車ほどのものでなくても、現代の自動車には通常でも数十個、高級車など多いものでは100個以上のコンピュータが搭載され、エンジンやブレーキからパワーウィンドウやエアコン、インストルメントパネルなど様々な制御を行っています。そしてこれらのコンピュータはCANをはじめとする、いわゆる車載LANで相互に接続され、各種データのやり取りを行って協調的に動作しています。また、ディーラーなどでの故障情報の読み出しもこのCANを使用しますが、ダイアグテスターと呼ばれる専用機器を接続するためのコネクターが運転席のペダル付近にあります。

この端子からどのような情報が取り出せるかは車種にもよりますが、基本的な通信プロトコル(ダイアグ通信)は標準化されており、少なくとも故障診断に必要な基本的な情報は得ることができます。そこでここに接続して各種情報を取り出して表示しようというツールも以前から色々存在するのですが、私は先日、といっても6月頃、Automaticというものを見付け、これはちょっと面白そうだと購入を申し込みました。価格が$69.95と手頃だったのもあって飛びついてしまったのですが、これは10月7日までの期間限定で、それ以降は$99.95となるようです。

さて、これは何なのかというと、要するにスマートフォンをBluetooth経由でダイアグコネクターから自動車に接続するもので、機器自体はLinkという名のものです。そしてダイアグ通信で得た情報とスマートフォンのGPSと、そしてLinkに内蔵された加速度センサの情報を用いて、いくつかの機能を実現しています。まず、急ブレーキ、急加速、スピードの出しすぎはその場で警告音が鳴り、またスマートフォン上でスコア化されます。それと同時に通ったルート、距離、消費したガソリンの価格、燃費が表示され、安全と好燃費を心がけるようにしようというものです。

これが基本的な機能になりますが、この他に衝突を検知した時には自動的に緊急通報する機能、故障を検出した場合にその内容を表示する機能、そして広い駐車場で自分の車を見失った時のために駐車した場所を表示する機能があります。これらの機能はすべて得られた情報の組み合わせをどのようにスマートフォン上で見せるかというだけですから、さらに新しい機能が追加される可能性も高いのではないかと思います。
Link
Link自体は5cm角程度のコンパクトなもので、ダイアグコネクタに挿しっぱなしにしていても運転の支障になることは一切無いでしょう。Link本体に記載されているパスコードをスマートフォンのアプリに登録し、Linkを車に挿して車のキーを回し、Bluetoothの接続が確立したらエンジンを掛けると初回の登録は完了します。その後はエンジンを始動するだけで自動的にログが取られ、特に意識する必要はありません。

対象車種は互換性確認のページで確認することができますが、現時点では米国内のみが対象となっています。これは対象車種をある程度絞るためということもありますが、アプリが燃料代を計算するためにガソリンスタンドごとの価格情報を取得していたり、緊急通報先や道路情報などを利用しているためだということです。将来的には他国での使用もサポートする予定とのことですので、ある程度機能が限定される可能性もありますが、しばらくしたら日本でも使えるようになるのではないでしょうか。

もともと5月から発送されると言っていたものが9月末にずれ込むなど、スタートアップ特有のちょっとしたルーズさが気にならないではありませんが、公式のコミュニティではユーザ間やカスタマサポートの間でコミュニケーションが行われていて、改善要望も随時汲んでもらえそうな雰囲気があります。使用していてもまだまだ発展途上というような感じがしますが、Bluetoothの接続などは思ったよりも安定しているのでアプリ次第でどんどん面白いものになるような気がしていますので、今後の発展に期待したいところです。