昨日、私が利用しているISP(プロバイダ)のODNからメールが来て、Anonymous FTP, キャッシュサービス, Net Newsのサービスを終了すると告げられました。

私が初めてThe Internetに触れたのは今から十数年前、大学の研究室に入ったときのことでした。それ以前からPC自体は趣味として触ってきていましたが、「通信は金がかかる」というイメージがあったため、当時普及していたNiftyServeやASCII Netなどの『パソコン通信』は未経験でした。それを飛び越えて電子メールの使い方などを教わり、未知の体験にドキドキワクワクしていたのですが、それと同時に「研究室内の連絡などにも使うから」ということでNetNewsの使い方も教わりました。電子メールは個人対個人のやりとりになりますが、NetNewsは今のウェブ上の掲示板と同様、多対多のやりとりになります。

当時はまだHTTPやHTMLも発表されておらず、Internet ExplorerやNetscape NavigatorのもととなったNCSA Mosaicが発表される前年なので、WWWなどまだ夢にしか描けなかった頃でした。当然ISPなども一般向けには存在せず、Internetがまだ大学や一部企業の研究施設のもの(JUNET)だった時代です。ユーザ数が限られていて、しかも一定の層にいる人だけが利用している形だったため、常識とモラルによって秩序の保たれた閉鎖的な社会が形成されていました。NetNewsも日本ではfj(from Japan)というものがその上に存在したのと、基本的に実名を名乗ることになっていたので、今思えばまさに「古き佳き時代」で、某巨大掲示板の一部のようなある種の殺伐とした雰囲気は全く感じられませんでした。たまに「フレーム」といわれる論争から発展した罵りあいのような状態になることはありましたが、それは一時的なものでした。

また、Internet上の情報は基本的にテキストだったのですが、NetNewsのNewsgroupの中にはテキスト形式にした画像が添付されているalt.binaries.picture.*といったものがあり、この添付ファイルをデコードしてxvなどのビューアで表示することはできました。アヤシイ画像の取り方を先輩などから教わったりしたものです。今でもこの辺りのNewsgroupには海外からかなり投稿されていて、専用のダウンロードソフトを使用すれば「お宝」画像がザックザクです。

そんなNetNewsの世界も掲示板などに主役を奪われ、またInternetが一般に普及して不特定多数のユーザがNetNewsの世界に進出するに従って情報の品質が低下し、フレームが頻発するようになってしまったこともあって、最近はすっかり寂れてしまっていました。スパムが著しく多くなったことも原因の一つです。今回のODNの決定は、結果的にプロバイダにとってサポートする意義がなくなってしまったということなのでしょうが、私にとってはほとんどのISPがNetNewsをサポートしていなかった中でODNを利用し続ける理由になっていたのでちょっと残念な気はします。とはいえ、私も最近はほとんどNetNewsに触れる機会はなくなっていましたし、Google Groupsという便利なサービスもあるので大して困ることはありません。困るのは、としいて言えば例のアヤシイ画像くらいですか…

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