MP3プレイヤーの草分け的存在であったRio販売を終了し、全世界の市場から撤退することを発表しました。Rioは2003年に経営破綻したアメリカのSONICblueから日本のD&Mホールディングスが事業を引き継いでいましたが、同社の中核事業である高付加価値AV事業とのシナジーが少ないことから、不振事業への投資は難しいとの判断だそうです。今年1〜6月の携帯オーディオプレイヤー市場でのRioのシェアは12.6%で、37.6%を占めるAppleに次ぐ2位の座にあるということですが、それでも数多くの企業がひしめく市場で価格競争は激しくなり、経営を大きく圧迫してしまっていたようです。

今はiPodが携帯音楽プレイヤーの代名詞的存在になってしまっていますが、そもそもMP3プレイヤーというものを市場に認知させる役割を果たしたのはRioではないかと思います。しかし、Rioの場合はFlash ROMベースのいわゆるシリコンオーディオに拘ってしまったのか、ハードディスク内蔵タイプも投入されていたものの、他社製品、特にiPodに対して見劣りするものとなってしまっていたのかもしれません。

ただ、iPodの成功はiPod単体の魅力だけではなく、Appleが売りとしているデザイン性と、iTunesとの高度な連携によるPCとトータルでの使い勝手の良さも大いに影響しているので、総合力を持つ企業でないと太刀打ちするのは難しいでしょうね。対抗できるのはSONYくらいではないかと思うのですが、Walkmanの過去の栄光にすがってしまっているような感があるのと、ATRACやMemory Stickといった独自規格での囲い込みをあからさまに狙っているのが失敗を招いているのではないでしょうか。

私も未だに9800円で購入したRio Chibaを愛用していますが、iTunesで管理している楽曲をRio Music Managerという専用ソフトでいちいち転送しなければならないという手間はあるものの、プレイヤー自体の使い勝手は悪くなく、SDカードでメモリーを追加できるということもあるので、しばらくは使い続けるつもりです。それだけに今回の発表はちょっと寂しい気もしますが、企業は利益を追求しなければならないので仕方のないことですね。

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