miniSDIntel社創業者の一人Gordon Moore氏が提唱した有名な「ムーアの法則」というものがあります。実際には法則というよりも予言のようなもので「ICの集積度は18~24ヶ月ごとに倍になる」ということなのですが、集積度の向上はそのまま性能の向上に直結するだけでなく、ウェハ上の面積の縮小によりコスト低減にも密に繋がるものです。これまでに何度も「ムーアの法則もここまでか」というような壁があるように思われてきたもののそれらの障壁も技術革新によりことごとく打ち破られ、世界で最初のMPUであるi4004以来、実績上も概ねこの法則の範囲内で推移しているというのは驚くべきことですが、今後もこのまま推移していくのでしょうか。

しかし、ここ最近恐ろしいペースで大容量・低価格化が進んでいるのがSDカードなどのフラッシュメモリです。私が10年ほど前に最初のデジタルカメラを購入したとき、このカメラは仕様上8MBまでのスマートメディアしか利用できませんでした。今見ると携帯電話はおろかおもちゃ以下のスペックにしか見えませんが、当時は81万画素でも比較的高解像度な方で、8MBというのも個人向けとしては十分に大容量といえるものでした。しかし、今や撮像素子は1000万画素にも達し、一般向けの記録メディアもギガバイトの大台越えも近づきつつあります。

そんな状況の中、先日「2GBのminiSDカードが2000円台で売られている」という情報を聞きつけ、そのSofmapの通販サイトで探してみると確かにありました。有名メーカー品は5000円前後から10000円近いものまでありますが、無名ブランド品では3000円弱のものがチラホラとあります。1GBのものは2000円を切るものが珍しくないようなので、これは一時的なバーゲンプライスというわけでもなさそうです。私はつい半年ほど前に256MBのものを5000円ほどで買ったというのに、この低価格化の勢いは恐ろしいほどです。しかも送料無料でこの価格ということなので、私はほとんど迷うこともなく購入手続きを済ませてしまいました。

こんな大容量のメモリを何に使うのかといえば、「W-Zero3[es]で動画を見たい」ということなのです。これまで使っていた256MBのカードでは英辞郎の辞書データと各種アプリケーションを入れると残り容量はわずかになってしまい、動画など入れる余地もなかったのです。これが一気に2GBに増えてしまうと映画を丸ごと1本入れてもまだまだ余裕があるという凄まじさで、逆に「どうしたら埋めることができるのだろうか」と考えてしまいます。もちろん無理に埋めて使う必要はないわけですが。

しかし届いたメディアを使おうとしてうっかりしていたのがカードリーダの対応でした。これまで直接USBコネクタに挿せるのが気に入って使っていたカードリーダMCR-SD-M/U2もminiSDには対応していたので迷いもなくカードを挿してPCに繋いでみたのですが、どうもまともに認識してくれません。一時はメディアの不良も疑ったのですが、あれこれ悩んだ挙げ句製品仕様をよく見てみると「最大512MB」との表示が…今度はW-Zero3[es]に挿してActiveSync経由でアクセスを試みましたが、なにやら妙な「変換」を加えて転送しようとするらしく、大容量のファイルを転送しようとすると一向に終わる気配を見せてくれません。結局、8GBのSDHCまで対応していることがわかっていた*istDSを経由するという訳のわからぬ方法で対処できましたが、毎度毎度大きなカメラを引っ張り出してくるのも鬱陶しいので、早急に新しいカードリーダを準備することにしました。

2GBのminiSDに対応したカードリーダというのは思いの外選択肢が少なく、USBコネクタ直挿しのコンパクトなタイプは軒並み256MBまでの対応ということで、メディア側の急激な大容量化に追いつくことができていないようです。結局数少ない中から私が選んだのは、ミドリ電化の特売で安くなっていたBuffaloMCR-A21/U2-SVというものでした。購入したのはシルバーのものですが、それは単に他の色が売り場にはなかったというだけのことで、選べるのであればブラックの方が良かったかなという気がしています。

さすがにこの製品を使えば全く問題なく認識・読み書きができ、快適に使うことができそうです。mini USBコネクタで接続できるのも結構嬉しいところで、W-Zero3[es]やRio Chibaを繋ぐために私の机の上にはmini USBの線を引っ張ってきていてそのまま繋ぐことができるので、なかなか便利でした。製品は「21+3メディア対応」を謳っていますが、実際に使えるのはSDとMemoryStickの各種バリエーションなので、必要以上に煩雑になっているわけでもありません。

まあしかし、こんなにバリエーションがあるというのも驚きですが、いちいちそれに対応しなければならないリーダを作る方も大変ですね。使う側もちゃんと対応したものを選ばないと私と似たような羽目に陥るわけですが…どうせどんどん大容量・高速化することはわかっているのですから、最初からもうちょっとスケーラビリティのある仕様を作っておくことはできないのでしょうかね。

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