Angels & Demonsこれではバチカンが快く思わないのも仕方ない。

ついに国内での新型インフルエンザの感染が確認され、学校関係者を初め諸関係者は対応に大わらわ、娯楽施設などは人出が減って大幅減収を免れない状況ではないでしょうか。しかも県内での発生なのでちょっと考えれば映画なんて観ている場合ではないような気もしたのですが、今朝の時点では県内とはいっても遠方であり、まだ明らかになっている人数も少なかったので大丈夫だろうとタカをくくり、妻と二人で「天使と悪魔」を観に行ってしまいました。とはいえ映画館という閉鎖空間で何もしないというのはさすがに気になったので、念のため観ている間マスクだけはしっかり着用していました。

この作品は言うまでもなく2006年の「ダ・ヴィンチ・コード」の続編として製作されたものですが、Dan Brownによる原作の方は「ダ・ヴィンチ・コード」の2003年に先立つ2000年に発行されているもので、時系列が逆になっています。とはいってもそれはストーリーには全く影響しないので気にする必要はありません。

物語は教皇が亡くなりコンクラーヴェの準備が始まるバチカンと、反物質の生成が試みられるCERNとから始まります。原作ではこのCERNの方ももう少し絡んでいたような気がするのですが、映画の方では反物質が作られる様子が描かれるのと、ヒロインがCERNの研究員であるということ以外は忘れ去られてしまいそうです。しかし、このCERNの加速器LHCが稼働する様子はリアリティはともかくかなりカッコいい映像になっていますし、LHCの制御板も無駄に豪華なGUIになっていていかにも未来的です。ちなみに反物質のウソホントについては物理学者とともに読む「天使と悪魔」の虚と実 50のポイントというページが面白くためになりそうです。

主な舞台となるのはバチカンとそれを取り囲むローマ市内なのですが、物語の内容がバチカンには受け入れられるものではなかったのか撮影許可が得られたのはごく僅かな場所でしかなかったのだそうです。しかし、映画を観ている限りではそんなことは全くわからず、ローマ市内を縦横無尽に動き回って撮影が行われたようにしか思えません。

主演はもちろんTom Hanksですが、シリアスな展開のこの作品では彼らしいコミカルな演技はほとんど見られません。まあ今となってはRobert Langdonを他の人が演じるには無理がありますね。原作で「ラテン系のインテリ美人」として描かれていたヒロインはAyelet Zurerが演じていますが、こちらも違和感は全くなく素敵な女性なので問題ありません。何にしてももう今年40歳を迎えるとはとても思えません。

全体的には原作を読んだとき

今回も読みながらつくづく感じましたが、やっぱりこの著者Dan Browmは映画を意識して書いているに違いありません。「映画化」を念頭に置いているというよりは「映画的」にストーリーを展開している、ということですが、やはりその分映画には向いていそうです。

と書いていますが、思った通りスピード感のあるアクション満載で盛りだくさんの映画となりました。予備知識がないとわからないような設定もあちこちにありましたが、知らないなら知らないでも特に差し障りなく、知っていればより楽しめるという程度のものなので説明不足とまでは感じないのではないでしょうか。まあ私はほとんど忘れてしまっていたとはいえ原作を一度読んでいるので、そうでない妻にはちょっと難しく感じられたところもあるようなので何とも言えませんが、そんな妻も面白かったとは言っているので、きっと楽しむことはできるでしょう。その上で原作を読んで補強するというのがいいかもしれません。