Winnie the Poohいい加減そろそろやめにしませんか?

最近はマスメディアでもあまり大きく取り上げられなくなってきたので、何となく下火になってきたかのように感じてしまっていたいわゆるP2P共有ソフトWinnyによる情報流出の問題ですが、実際は下火どころかまだまだ燃えさかっているような状況で、つい先日も愛媛県愛南町秋田県北秋田市という複数の自治体で住民票コード一覧などが流出していたことが明らかになりました。その他企業などからの最近の流出についてはスラッシュドットのコメントにまとめられたものがあります。

今回の件はどちらも発注先から再委託を受けた山口電子計算センターという下請け企業の「従業員の30代女性」が自宅に持ち帰り個人用PCに入れたテスト用データがWinnyを介して流出したということになっています。この複数の事案の元請けはそれぞれ別の企業なのですが、そこから受注していたということは技術力かコストかそのバランスにおいて、山口電子計算センターという会社はそれなりに定評があったということなのでしょうか。そのそれぞれで問題を起こしてしまったというのは皮肉な結果ですが…

これらの問題は複数の要因が重なったために起こったものであるということに注意する必要があります。

  • 契約上禁止されていたはずの再委託が行われていた
  • テスト用に本物のデータを使用していた
  • 業務上のデータを自宅に持ち帰った
  • 自宅のPCでWinnyを使用していた

これらはどれも本来禁じられているか、避けなければならないはずのもので、そのどれかがなければ大きな事件となることもなかったのです。おそらくそれぞれについては直接大きな問題を引き起こすこともないだろうとタカをくくり安易に流されてしまったのだろうと思われますが、悪いことの積み重ねが最悪の結果を招くことになってしまいました。

Winnyについてはその使用自体が「悪」というわけではなく、罪に問われるのは著作権上違法なファイルのアップロードなどに限られるわけですが、実際のところそれらのファイルのダウンロードを目的として使用する場合がほぼ全てでしょうから、違法行為を助長しそれに依存する行為であるということは、法的には罪とされることがなくとも限りなく罪に近い行為と言えるのではないでしょうか。私もあまり大きなことを言える立場ではないかもしれませんが、Winnyが絡んだ問題がこれだけ起こっている中でまだなお使い続けるというのはかなり危険な行為とも言えるので、直ちに使用をやめるべきです。

しかし今も使い続ける人がいるというのは、Winnyの特徴の一つと言われている「匿名性」が盾となっていて、誰が使っているのか特定されないということが安心感に繋がっているからでしょう。実際にこれまでの逮捕者や流出元も直接ネットワーク上の通信内容から特定されたわけではなく、2ちゃんねるなどへの書き込みその他の状況から導き出されただけで、依然プロトコルは解析できていないはずです。

そこで、Winnyのソースコードを公開するというのはどうでしょうか。そのコードを元に新しい共有ソフトを作られてしまうということを恐れている人もいるのかもしれませんが、Winnyのアイデアはともかく実装には特に技術的に見るべきものがあるとは思えず、コードが公開されたからといって新たな問題を作り出すということはないでしょう。また、作者である金子勇氏もこれだけ社会的な問題を作り出しているわけですから、道義的には公開を拒むことは許されないのではないでしょうか。ソースコードからプロトコルとが明らかになれば誰が何をアップロードしようとしているかをリアルタイムに解析するようなソフトウェアを作ることもできるはずです。そしてそういうものが存在するということが周知され、「違法なアップロードはすぐに特定されるから恐くてできない」ということからファイルの流通が鈍ることになれば、利用者も自然に減っていくことになるのではないでしょうか。

上にも書いたように情報流出に関してはWinnyだけが原因となっているわけではないのですが、少なくとも様々な事件・事故の一因となっていることは明らかになっているのですから、軽い気持ちでWinnyを起動すべきではありません。本人だけでなく周囲の人の人生も狂わせる結果になる可能性もあるということを肝に銘じて、それでも使うのだという人にはそれ以上言うことはありませんが…私の近くでは勘弁していただきたいものです。