赤福餅これが老舗の味の秘密…

消費期限を過ぎた原材料を使用したことで不二家が問題になり、賞味期限を1ヶ月先延ばししたことで「白い恋人」の石屋製菓が問題になったのに続き、どうも今年は有名製菓業者の不祥事発覚が相次ぐようで、今度は伊勢名物赤福餅を製造販売する赤福が2つの問題で農林水産省の指導を受けていたことが明らかになりました。

その問題とは、

  • 製造した製品を一旦冷凍保存し、それを必要に応じて解凍の上包装し、その包装した日を製造日とし、これを基準に消費期限を表示していたこと。その中には一旦工場を出て、店頭に並ばずに戻されたものも含まれている。
  • 原材料名は使用している重量の多い順に「砂糖、小豆、もち米」と表示しなければならないにもかかわらず、「小豆、もち米、砂糖」と表示していたこと。

という2点で、これらがJAS法の定める規定にそれぞれ反するということです。これらの問題はいずれも表示の問題であって、それが直接安全や衛生に関わる問題があるというものではありませんが、消費者を騙していたということは明らかな事実です。現在は既に冷凍するということをやめ、原材料名の表示も適正なものに改められているということなので、既に問題は解消されているようです。

しかしこの冷解凍の工程は35年ほど前から出荷量調整のために製造ラインに組み込まれてきたものであり、出荷されてきた製品の20%弱にも当たる数量のものがこの工程を経たものだったということが驚きです。赤福というと箱を傾けて持つと片寄ってしまうというほど軟らかい餅が特徴とされていて、それを保つために消費期限はわずか2日後に設定されていたわけですが、実は冷凍すれば何日も持つということが明らかになったわけですね。いっそのこと冷凍のまま売っていればもっと色々なところでも売れそうなものですが、こういうことが問題になった後では無理でしょうね。

そもそも消費期限というのは自己申告なのではないのでしょうか。作り手としていつまでなら味を保証できるかというのが消費期限…と思っていたら実はそれは賞味期限であって、法的にも区別されているものなのですね。消費期限というのは

製造者が定めた、ある保存方法で概ね5日間経つと品質劣化する長期間保存できない食品の食用可能期限

ということで、長期保存可能な食品の品質保証期限を表示するものが賞味期限なのでした。どういう基準で算定されているものなのかはすぐには見つかりませんでしたが、赤福の場合は安全上の問題よりは「餅が固くなる」ということで決まっていそうなものです。

ちなみに私などは賞味期限を過ぎていたからといっても大して気にせず、ものにも依りますがその期間の倍ほどの期間は問題ないだろうと食べてしまったりしていますが、やはり大抵の物はできた直後から少しずつ味が落ちていくものなので、早めに食べるに越したことはありません。もっともこの基準日が偽りのものだということは想定外だったわけですが…今後はそんなことまで考えなければいけないのでしょうか。

それにしても赤福の冷解凍というのは私が物心つく前から続けられてきたということなので、私が知っている赤福餅の味は冷凍されたものだったのかも知れないのですよね。法に反していたということは問題ですが、この冷解凍を経たものでもその味で赤福餅が売れていたということは、もはや赤福餅の味を構成する一部だったとも言えたりするかもしれません。まあ「名物」と言われてしまうと本当に美味しいわけでなくても食べてみなければという気になってしまうわけですが…