ガソリンこの1ヶ月は一体何のため?

今年3月末に一旦期限切れを迎え、ガソリン価格の大幅な下落により市民生活に若干の余裕を与えていたいわゆる暫定税率ですが、今日午後与党の強行採決による可決でわずか1ヶ月で元通りに復活してしまうことになりました。これに関連する法案は翌日5月1日から施行されてしまうということで、明日以降ガソリンスタンドの在庫次第でレギュラーで160円以上という高値になることが予想されています。

昨日あたりからこの値上げを見越してガソリンスタンドには安いうちに給油しておこうという人が列をなしている、とテレビなどでの報道もあり、私も妻に言われて給油しておくことにしました。しかし目指すスタンドまでの道路がいやに渋滞していてどうなっているのかと思いきや、そのスタンドの給油待ちの列が道路にまで伸びて通行を妨げているのでした。私はわずかの違いのためにそんなところで待つ気になれないので、リッター数円高いフルサービスのスタンドへそのまま移動して給油してしまいました。結局30リッターくらいしか入らなかったので、リッター3円違ったとしても合計100円の差、ということは並んでいる間のアイドリングでも使ってしまいかねないではないですか。

それはともかく、この1ヶ月で大きく下がってまた大きく上がることになってしまったガソリン価格の変動によって一般の自動車ユーザも翻弄されましたが、一番割を食ったのはスタンド経営の方々です。与党はこれを補償するような法案も考えたものの特定事業者を優遇することになるということで断念したようですが、それも仕方のないことでしょう。

どんな税についても同じことですが、そもそも道路特定財源も適切に使われていればこれほどの反発を招くこともないのでしょう。しかし、何のためだかわからない、というより土建屋の儲けのためだとしか思えないような無駄な道路が造られていたり、挙げ句の果てにカラオケセットが購入されているというようなことまで明るみに出ているから問題なのですよね。道路を造るというのは税金でなければできないことですし、その財源を自動車ユーザから徴収するというのも受益者負担ということで納得できると思うのですが、何とかならないものなのでしょうか。

結局今回の暫定税率は10年間据え置きというオプションが付いてしまったようですし、今後はガソリンが200円にも達する可能性があるということを前提とした対応をしていかなければいけないのでしょう。具体的には、自動車を必要としない都市部の人は自家用車を持つことをやめていくことになり、長距離の移動も鉄道を中心にした公共交通機関の利用になり、自家用車の必要な地方の人に対してはHEVEVなどへの移行が促進されることになるのでしょう。これにより自動車業界も明暗が分かれることになるのかもしれませんが、これも進化の過程での淘汰ということではないでしょうか。そしてもちろん鉄道へのシフトや長距離輸送そのものの減少など物流にも変化があるでしょう。

しかし、自動車の利用が減っていくのだとすると、道路を造るための暫定税率というのは本当に必要なのかという話にもなりますよね。立派な高速道路を造ったはいいが走る車がいない、ということにはならないのでしょうか。そういうことまで考えられているとは思えませんし、気付いたとしても気付かない振りをするに違いないと思うのですが…