Blades of Gloryスキージャンプペアよりはまだ現実的なのは当然?

先日ライブのために京都に行ってきたという後輩Mが微妙に時間が余ったので行ってきたというのはみうらじゅんの生家だそうです。その場所は既に氏の家族などは住んではいないらしく、しかも場所もかなりうろ覚えで行ったらしいので結局どの家かもはっきり分からずに終わったそうなのですが、サブカルに興味を持つきっかけともなった氏を信奉するものとしては一度訪れて生い立ちを辿ってみたかったようです。

私自身はみうらじゅんといとうせいこうとが今一つ区別できていなかったくらいでよく知らなかったのですが、調べてみればみるほどこの人のディープな世界が楽しそうでお付き合いしたくなってしまいます。まあ実際近くにいたらついて行けない部分も大きそうですが、それはともかく氏が毎年選出している「みうらじゅん賞」を見ていたら、その中にちょっと気になっていた「俺たちフィギュアスケーター」が入っていたので、これは本当に期待できるのではないかと観てみることにしました。

俺たちフィギュアスケーター スペシャル・エディション
監督:ウィル・スペック;ジョシュ・ゴードン
角川エンタテインメント (2008/05/23)
ISBN/ASIN:B0012ZN6YE

製作はかのBen Stillerということなのですが、本当かウソかは知りませんが氏が8歳の時に思いついたという男同士のペアによるフィギュアスケートを題材にしたコメディ作品です。俳優にフィギュアスケートを演じさせるのが不可能だったからなのかこれまでにはフィギュアスケートの映画というのがほとんどなかったらしいのですが、それも現代の特撮技術では可能になったということなのでしょうか。自分たちの世界が映画になるということが嬉しかったのか、本物のスケート選手も数多くカメオ出演しています。

犬猿の仲のトップスケーター2人が世界大会で2人同時に金メダルを獲得したところで、表彰台の上で大げんかを繰り広げたことから2人とも永久追放ということになってしまい落ちぶれた日々を過ごしていたところ、シングルはダメでもペアなら出場できるということを知って相手を探すも見つからず、どういうわけか男同士でペアを組むことになり、最初は毛嫌いしていたお互いも次第に認め合うようになり…というかなりありえない話なのですが、男同士のペアというのも実はアリなのではないかと思わされてしまう楽しい作品でした。繰り出される技も非現実的なものもあればふざけたもの、ルール的に許されないのではないかというものもありますが、面白ければそんなことはどうでもいいですね。

主人公の2人、孤児から大富豪の養子になったJimmy MacElroyの役はJon Heder、スラムで育ちセクシーな演技で大人気だったChazz Michael Michaelsの役はWill Ferrellという日本ではそれほど有名ではない俳優が演じており、その他出演者もあまり知られた人は出ていません。しかしそんなことは映画の面白さには無関係であり、元々日本的なものとは違うアメリカの笑いの感覚を表現するのに日本での知名度などどうでもいいことです。まあそれも脚本の面白さがあってこそかもしれませんが。ちなみにKatie役のJenna Fischerも素朴な可愛さがなかなかでした。

途中記者会見のシーンで、日本人の記者が突然日本語でインタビューして場が静まりかえり、それに対してJimmyが日本語で答えるというエピソードがあるのですが、これは何かを邪推してしまわない方がいいのでしょうか…日本人としてはちょっと微妙な場面に思われたのですが、私の考えすぎでしょうか。日本人が考えている以上にアメリカ白人のアジア人への差別というのは根強いですからね。とはいってもそんなに後味が悪いわけではないのであまり気にしない方がいいかもしれません。

全体的にはバカバカしさもほどほど、かなり楽しめる作品になっていて、みうらじゅん賞もダテではないなと思わせるものがありました。となると他の受賞対象も気になってしまうものですが、人物の受賞がほとんどという中で「入水鍾乳洞」が受賞しているというのは一体どういうことなのでしょうか…?余計に気になって仕方がありませんが、福島県にはなかなか行く機会がなさそうで残念です。鍾乳洞自体も大好きなんですけどね…