taspo誰のために必要なものなのでしょうか

昨日7月1日から全国のタバコ自動販売機で、成人識別カード「タスポ」を所持していないとタバコを購入できないようになりました。タバコを一切吸わない私にとっては全く関係のないことなので、これまでどのように展開されてきたのか、私の住む地域ではいつから導入されていたのかなど知りもしませんでしたが、「愛煙家」の方々にとっては少々面倒を感じたことでしょう。1回カードを作ってしまえばあとは大したことはないとはいえ、未成年の喫煙を防ぐという大義名分を掲げられては従わざるを得ないというところではないでしょうか。

しかし、実際に大規模な投資をしてまでこのようなシステムを導入するというのは、それに見合うだけの見返りがあるからです。実際に、タスポが成功すれば深夜稼働を解禁したいと全国たばこ販売協同組合連合会は方針を打ち出しているようですし、いずれそうなるのも時間の問題でしょう。その場合、深夜でもタバコを買えるようになって喜ぶのは誰なのかというと、それは買う側よりも売る側の人のはずです。

そもそも、「愛煙家」という呼ばれ方をしてはいますが、本当にタバコを「愛して」いる人というのは少ないのではないでしょうか。実際には多くの人が「やめたくてもやめられない」という中毒症状に苦しんでいるだけで、本当の自分の意志でタバコを買いたい、吸いたいと思っているわけではないでしょう。「タバコを吸うと落ち着く」というのはニコチンが切れてきたときにイライラを感じる中毒症状そのものの裏返しでしかなく、元々タバコを吸わない人は何もないのにイライラしたりはしないわけです。

そういうニコチン中毒の方々も喫煙のきっかけというものがあったはずですが、成人してからタバコを吸い始めたという人はむしろ稀なのではないでしょうか。そういう点ではタスポが本来の効果を発揮して未成年者の喫煙機会を阻むことができれば、将来的な喫煙者人口、即ち中毒患者を減らすことに対し絶大な威力があるはずですが、それには身近な成人が妙な誘惑をしないことも必要で、残念ながらタバコを勧めてしまう親というのもいるようなので限界はあるのでしょう。

まあそれにしても全国津津浦々に各種自動販売機が立ち並んでいるというのは日本独特の光景で、他の国では経済、治安、環境など様々な理由で見ることのできないものですが、そういう日本だからこそこのような投資が必要になってしまうわけですね。本当に健康のことを考えれば、タバコの自動販売機での販売を全面的に禁止してしまう方がいいのではないかと私は思ってしまうのですが、それでは損をする人が沢山いるのでどう考えても実現は無理ですね。欧米では既にタバコがひと箱1000円という贅沢品になって久しいわけですが、「増税しても増収効果ない」などと言って公然と反対する人たちがいてそれも難しそうですし、まだまだ「愛煙家」が搾取される時代は続きそうです。