Lots-O'-Huggin' Bearひねりはなくストレートですが感動できます。

学校が夏休みに入って、映画館でもポケモン映画「幻影の覇者 ゾロアーク」やジブリ最新作「借りぐらしのアリエッティ」など子供向けの映画がいくつも上映されて子供たちで大賑わいになっているようですが、我が家で妻と私が家族で観ようと決めていたのは10年ぶりのシリーズ最新作となる「トイ・ストーリー3」でした。しかし、本来子供向けの映画のはずなのですが、長男は「観たいのは観たいけどDVDでいい」と言い、次男は「ポケモンの方がいい」ということで乗りが悪く、なんだか大人だけが意気込んでいるような状態でした。まあ、大人でも楽しめるのがピクサー作品ですから、大人だけで観てもいいやと思ったのですが、先日長男がサッカーの練習試合でいない間に次男をなだめすかして3人で観に行ってきました。

シリーズ最初の作品「トイ・ストーリー」はCGアニメーションで作られた最初の劇場映画ですが、それ以来年を追って新しい作品が作られるたびにその技術の進歩に驚かされるばかりで、今回の「トイ・ストーリー3」でも実写の合成にしか見えないような場面もあり、実際はいくらでも本物っぽく仕上げることはできるのにあえて嘘っぽく描いているだけなのではないかと、既に技術は実写を超えているのではないかと思われるレベルです。まあ、実写と言いながらCGで大幅に修正を加えているのが昨今の作品でしょうから、人物以外は既に区別すること自体が無意味なのかもしれません。

もともと3D CGのアニメーションは仮想の3次元空間に創り上げたモデルをある視点から見たものを映像化しているので、この視点をちょっとずらして2つ設けるだけで3D映像を作ることができ、3D映画とは非常に相性のいいものです。したがって、この「トイ・ストーリー3」も3D版を観ておくべきだろうと判断し、「アバター」以来2作目の3D映画体験とすることにしました。やはり最初は3Dを意識させる映像がいくつかあるものの、そのうち観ている方が慣れるのか、自然に映像の世界に入り込むことができたというのが妻の感想です。私も最初は焦点をどこに合わせると自然に見られるのか探ってしまいましたが、いつの間にかそんなことは忘れて楽しんでいました。
Ken
ストーリーの方は前作から10年後、WoodyやBuzzの持ち主であるAndyが大学に進学するため実家を出ようとしているその時が舞台になっています。子供の頃に遊んだ大切なおもちゃたちを一緒に連れていくのか、屋根裏にしまっておくのか、それとも処分すべきなのかというところです。おもちゃたちにとってはまさに運命の分かれ道となるところですが、ここでまた危機と共に新たな冒険が始まり…といった感じでしょうか。

今回私たちも吹き替え版を観たのですが、このシリーズはいつも吹き替えで観ているので唐沢ウッディとバズは全くはまり役で違和感のかけらもありません。しかし最初の「トイ・ストーリー」は元々この2人とは違う配役でレコーディングを終えていたのに、それを改めて録り直したのだというからわからないものですね。声優でない一般のタレントがアニメの声を当てることには賛否あるかと思いますが、タレントはギャラが高い反面プロモーションも引き受けてくれるので結果的にコストパフォーマンスが高いという話もありますし、このシリーズの場合はまさに成功例と言えますね。

しかし自分でもびっくりしてしまったのですが、これまでいくつもの映画を観てきて「感動した」と口では言ってもそれほど感情が込み上げてくるようなことはなかった私も、この作品では終盤のあるシーンで不覚にも涙が溢れそうになりました。なんとか堪えはしたのですが、まさかそんな感情が自分にもあったとはというのが驚きです。まさにそれだけ映画の世界に没入していたということでしょうか。とにかく、アニメだから子供向けだからと馬鹿にするなかれ、子供から大人まで誰もが楽しめる素晴らしい作品であることは間違いありません。

そういえばピクサー作品といえば最初に上映される短編作品も楽しみの一つですが、今回は「デイ&ナイト」という作品が上映されました。2Dと3Dが融合されて新しい映像を作り出している楽しい作品ですが、こういった技法も今後の長編作品に生かされていくことになるのかもしれず、それもまた楽しみです。