Big Hero 6 - Baymax安定の品質。

2015年も面白い映画をたくさん見られるのを楽しみにしている私ですが、今年の元日は初っ端から映画館へ行ってみることにしました。といっても、私はもともと初詣には行きませんが、それでも実家に帰省したり親戚に会ったりと何かとバタバタする日本の正月と違って、ミシガンにいると何も特別なことはなく、単に一年にいくつかある祝日の一つに過ぎません。おまけに気温が-10℃ほどと寒くて特別することもなかったので、それなら映画でもというだけのことです。

何を観るかにあたっては特に迷うことはなく、「ベイマックス」を選択しました。日本では年末の公開でしたがアメリカでは11月上旬から公開されていて、妻と次男は既に観ていて面白かったということですし、公開以来日本から良い評判も続々聞こえてきたので、他の作品を優先していた私も観ることにしたのでした。

なにしろPixarなのだから面白くないわけがない…と思っていたのですが、John Lasseterが製作総指揮を執っているもののWalt Disney Animation Studiosの制作だったようです。私の完全な思い込みでしたが、まあDisneyにしたってアニメ映画の老舗、数多くの人気作品を持っているのですから間違いはありませんね。

ストーリーは天才少年Hiro Hamadaが亡き兄の遺した介護ロボットBaymaxと兄の研究仲間の学生らと一緒に悪と戦う、というような感じのシンプルなものです。最近やけに涙もろくなってきた私も目頭が熱くなることもありませんでしたが、興奮あり、笑いありの非常に楽しい作品だったことは間違いありません。特にメインキャラクターのBaymaxの天然ボケ的にユーモラスな言動がとても良く、現実に一家に一台あったらと思わざるを得ません。

舞台となっているのはサンフランソウキョウ(奏京)というサンフランシスコと東京を合わせたような名前の架空の都市ですが、坂の多い街をケーブルカーが走っている街角はまさにサンフランシスコですし、狭い路地裏や商店の看板などは東京のどこにでもあるような風景で、この2つの大都市を融合させたような街になっています。もともと原案となっているMarvel Comicsの”Big Hero 6“では舞台は完全に日本、主人公らも日本人だったので、そこから一歩下がってはいるのですが、この作品での風景の丁寧な描かれ方などを見ていると製作者らの日本への愛を感じずにはいられません。近年、中国の巨大市場に迎合するように半ば無理やり中国を舞台にするようになった「トランスフォーマー」などと大きな違いを感じるのは私だけでしょうか。

また最近の3D CGアニメ作品を見ていてつくづく感じるのが、小道具や背景の質感・素材感の素晴らしさです。人物などはどう見てもデフォルメされたアニメなのに、置いてある家具などは実写のようにしか見えません。最近の実写映画の多くでCGが重要な役割を果たしていることを考えればできて当然のことではあるのですが、どうしても錯覚してしまいます。それが映画への没入感を引き立てることになっているのでしょう。技術の進歩は素晴らしいと感じるのと同時に、こういった技術を研究開発している人々の努力に頭が下がる思いです。

ところで作品そのものには全く関係のない蛇足ですが、Wikipediaの「ベイマックス」のページ、「コミカライズ」という言葉が何度か使われていますが、comical-izeだと「コミカル化」で「面白おかしくする」というような意味になってしまいます。もちろんそんな意味ではなく、「ノベライズ」の「ラ」が付いてしまったのでしょうが、それなら普通に「マンガ化」でいいじゃないかと思ってしまいます。どうしてもこういうのが気になってしかたがない私は心が狭いでしょうか。