今回の台湾旅行では観光地らしいところにはあまり行かずにほとんど食べ歩きに終始していたのですが、そうは言っても行っておいたほうがいいだろうということで、千と千尋の神隠しの舞台のモチーフになったと言われている九份に行ってきました。といっても、モデルになったと噂されているだけで公式には何も言われておらず、なんとなく雰囲気があるというだけのようなのですが。

九份は台北の市街から40kmほど離れており、台北市内からの公共交通機関は鉄道やバスを利用することになります。私達は北門駅そばのバス停から高速バス965番に乗ってちょうど1時間ほど、料金NT$90 (およそ450円)で九份旧市街の入り口に着きました。鉄道を利用する場合は台北駅から瑞芳駅まで45分ほど、NT$76 (おおそ380円)、瑞芳駅からバスで15分弱、NT$15 (およそ75円)で、電車でもバスでも時間も料金もほとんど同じなので、乗り換えが不要でただ座っていれば着くのでバスのほうが楽ではないかと思います。ただ電車は電車でローカル線の旅も面白いだろうとは思うので、次に行くことがあれば電車にするでしょう。

旧市街は斜面にびっしりと並んだ建物で埋め尽くされていて、通りの両側に商店が並んでいますが、今はそのほとんどが土産物店や飲食店です。その狭い通りはたくさんの観光客が常に歩いていて、町並みに風情はありますが他の観光客を写り込ませずに写真を撮ることはほぼ無理でしょう。

私達の旅行ではその地の食べ物が欠かせない重要な要素ですが、九份では阿柑姨芋円という有名な芋圓の店に行きました。ここは海を眺められるところで食べられるのはいいのですが、ちょっと観光客ズレしている感じがしてしまっていたのが残念でした。芋圓自体はたっぷり入っていて美味しかったのですが、その上から小豆を被せられてしまったので、カラフルな芋圓が見えなくなってしまっていたのも残念ポイントです。まあどちらも印象だけなのですが。

「千と千尋〜」のモデルになったと言われているのは阿妹茶樓という茶屋ですが、この店に行くためにはメインの通りから1回曲がる必要があります(阿柑姨芋円と反対の方向)。階段を降りていくと「あ、ここか」というところに出て、ちょっと気分が高揚します。元々は金鉱の町であった九份の鍛冶屋だった建物が茶屋になったもののようで、今は観光客で行列ができる店になっていますが、往時の雰囲気を感じさせる趣はたしかにあります。

なお、通りや建物にはたくさんの赤い提灯が飾られていて、これらが灯される夕暮れ時が一番いいとは聞いていたのですが、その後台北に戻るのが遅くなることは避けたかったので、それを待たずに帰ってしまいました。