Doctor Strange少なくとも期待には応えてくれました。

香港を皮切りに各国での一般上映が始まったのが昨年10月、それから3ヶ月ほど経った昨日ようやく日本でも映画「ドクター・ストレンジ」が公開されました。この作品もMarvel Comicsのコミックシリーズを原作とするコミックの実写化作品の一つですが、主役のDoctor StrangeをあのBenedict Cumberbatchが演じているということで一部では大きな話題となっていました。Benedictといえば「スター・トレック イントゥ・ダークネス」で悪役のJohn Harrison、「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」では主役のAlan Turingを演じていましたが、演技派の本格俳優です。まあハリウッドの大作で主演を張る人が本格でないはずはありませんが、イギリスBBCのドラマシリーズ「SHERLOCK」の主役Sherlock Holmesでも大人気を博しており、そんなBenedictがMarvelの作品に出るというのは驚きがあったと思います。

ということで待ちに待った公開初日、仕事の後にカレーを食べてから、これまで何度か一緒に映画を観に行っているMarvelファンの職場のO君と二人で市内唯一のシネコンに行ってきました。初日といっても金曜日の夜7時半からだったので観客はまばらでしたが、それだけにわざわざ観に来ていた人たちなのでみなそれぞれ期待して来ていたのではないでしょうか。日本の映画館なので静かに観ていましたが、何となくいつもとは空気が違うような気もしました。たぶん気のせいですが。

Marvelの作品群の中でも日本では知名度の低いDoctor Strangeですが、本作は映画化シリーズの第一作ということで、いかにして魔術師Doctor Strangeが生まれたかという導入部分を描いているため、予備知識は一切必要ありません。主人公のStephen Strangeはニューヨークの病院で辣腕を振るう天才神経外科医ですが、なかなか鼻持ちならない野郎です。しかしある日、大事故に遭って後遺症が残るようになってしまい、そのままではもはや医者を続けることができないため八方手を尽くして最後にたどり着いたのがネパールの秘密の寺院Kamar-Tajであり、ここから不思議なストーリーが始まります。

Strangeの師となるAncient Oneはオリジナルのコミックでは老人男性のようですが、本作ではTilda Swintonが頭髪のない状態で演じています。作品中では年齢不詳の数百歳という役柄ですが、映像の中のTildaも56歳という歳には見えず、かと言って幾つくらいなのかもよくわからない不思議な感じです。兄弟子となるMordoChiwetel Ejioforが演じていますが、これまでに他の作品で何度も観たおなじみの顔といった感じです。一方、敵役のKaeciliusはつい先日「ローグ・ワン」のGalen Erso役で見たばかりのMads Mikkelsenです。今週プロモーションのために来日して人柄の良さを振りまいていたようですが、「カジノ・ロワイヤル」の悪役Le Chiffreもこの人でしたね。

映像の方は魔術の演出にILMのCG技術を存分に発揮していますが、多くの撮影がグリーンバックで行われたのではないでしょうか。「インセプション」を彷彿とさせるような映像もありましたが、空間を自在に操るような魔術の映像はかなり見応えのあるもので、まさしく現代の技術がなければ映像化することのできない世界です。数十年前の人々には想像もできないものでしょうが、そうすると数十年後の映画は一体どのような進化をとげるのでしょうか。

しかしStrangeという名字もどうかと思いますが、そこには目を瞑るしかないのでしょうね。本当にそんな名前だったら子供の頃きっといじめられるでしょうが…