東京MXテレビ (ゆめらいおん)テレビの未来は「ローカル局」から。

私が東京を離れた直後に開局したので実際にテレビで見たことはほとんど無いのですが、東京にはUHFの14chで放送されている東京MXテレビというローカル局が存在します。どうしても巨大な全国ネットのキー局と比べるとわずかな予算で番組を制作しなければならず、そうした潤沢な資金で作られた番組を見慣れた東京の人にはなかなか受け入れられにくいのか苦戦しているようですが、ワイドクリアビジョン放送やニュース番組主体の編成などで特色を出していたのが印象的で、個人的には好感を持つことができました。

さて、その東京のローカル局がGoogleと提携し、傘下のYouTubeでの番組配信を始めるという画期的・革命的な行動に出ました(プレスリリースPDF)。番組はYouTubeブランドチャンネルから見ることができますが、今のところ「TOKYO MX NEWS」のほか「談志陳平の言いたい放だい」と「石原都知事定例会見」という3つの番組を見ることができます。

これらの番組が面白いかどうかは別として、試み自体は非常に画期的なことで、テレビ局の新たな一歩と言えるものではないかと思いますが、これが大手キー局からではなくローカル局の一つに過ぎない東京MXテレビによるものだということをキー局の人々はどのように感じているでしょうか。「キー局と同じスタンスでやっていてもしょうがない」ということだそうですが、まさにその通り、英断と言えるでしょう。海外ではイギリスのBBCなどが既に利用しているということで、BBCを手本としているらしい某放送協会との違いを改めて感じてしまいます。

こうした動きにキー局をはじめとする他のテレビ局がどう反応することになるのかも非常に興味の湧くところで、特に楽天と応酬を続けているTBSライブドアにかき回されたフジテレビがいわゆるネット企業を牽制することに力を注ぎすぎたせいで大きく出遅れてしまっているのではないかという気がしてしまいます。ただその隙に日本テレビテレビ朝日が着々と準備を進めているというわけでもなさそうなので、結局東京MXテレビにまんまと出し抜かれてしまったというだけなのかもしれません。とはいえ、キー局側はそんなことはおくびにも出さず「たかがローカル局のすることだから」と冷静を装うのでしょうが。

ただ残念なのはYouTubeの画質があまり褒められたものではないということですね。本来テレビ局なら相当高画質なソースを持っているはずなので、Stage6などでクリアな映像を見ることができればより一層の衝撃を感じることができたのでしょうが…まあそれば贅沢というものですね。GyaOと違って自由に早送りやダウンロード・保存ができてしまうYouTubeなのでCMを入れることが難しく権利の問題も大きく、コンテンツはかなり制限されることになるかとは思いますが、他局からもこれに続く動きが出てくることに期待しつつ、温かく見守っていきたいと思います。