Ghostbusters形式的な意味合いしかないのでしょうが。

いわゆる暴露ウィルスの被害による機密情報や個人情報の漏洩が社会問題化してから既に何年も経っているので、さすがにWinnyShareといったファイル共有ソフトを使用することは反社会的行為に近いものと認知されているのではないかと思いますが、それでも未だにポツリポツリと新聞紙面で見かけることがあるのはまだまだ認識の甘い人もいるということなのでしょうか。自分自身の個人情報を晒してしまうのは自業自得なのでどうでもいいですが、企業機密や他人の個人情報、さらには防衛機密を扱うPCでWinnyを使うとか、WinnyのインストールされているPCでそういう情報を扱おうという気になる神経が全く理解できません。

私の勤務先にもそういう困った人がいないとは限らない、というより過去にいて問題を起こしているので大いにあり得るので、ついに個人PCの調査というのが行われることになりました。自宅などで使用している個人のPCに業務情報が保存されていないか、また情報漏洩に繋がる危険なソフトウェアがインストールされていないか、ということを調査するため、調査用ツールの収められたCD-Rが1枚配布され、結果を報告するようにということでした。

調査は大きく分けて2段階で、まず最初に何とかというソフトウェアを起動してPCにインストールされているアプリケーションをスキャンし、「グレーソフト」なる危険なソフトウェアを抽出した結果を見て、会社の定める「インストール禁止ソフト」がインストールされていないかを調べます。この「インストール禁止ソフト」のリストは3年近く前に記事にした時点からいつの間にか何倍もの数に成長していて、BitTorrentの各種クライアントや、各種IMなどが追加されています。私のPCにはSkypeがインストールされているのでこれだけが引っ掛かりましたが、それが直ちに問題というわけではありません。

次の段階は業務情報のファイルが保存されていないかを調べるのですが、これが実に大雑把で呆れてしまいました。まあそんなファイルを自動的に検索するというのは無理な話なので仕方ないとは思うのですが、各ドライブごとに*.doc, *.xls, *.pptというMS Officeのファイルをバッチファイルでリスト化し、そのファイル名を自分で見て業務に関係するものがないかを確認する、というものなのです。当然見逃しや誤魔化しも考えられるのですが、このあとで問題なかったということを宣誓させられるので、精神的なプレッシャーを掛けることが本当の目的なのではないかと思っています。まあ、仕事嫌いな私は業務を自宅に持ち帰ったりすることなどあり得ないので、そんなファイルがあるはずもないので調べるだけ無駄ではあるのですが、「調べて問題なかった」という事実は必要なのでさっさと調べて報告を済ませました。

この調査方法で一つ問題なのはWindows PCのことしか考えていないことで、Macの人やUnixについては全く無視していることです。これらのOSでは暴露ウィルスも問題になっていないということはあるのだと思いますが、OpenOffice.orgなどを使えば仕事に使えないというわけではないはずです。また、禁止ソフトのリストも元々は会社のPCにインストールしてはいけないソフトウェアということで制定されているはずで、そのためにIMやVPNなどが含まれているのだと思うのですが、自宅のPCから意図的に漏らそうと思えば他にいくらでも手段はあるはずで、こんなリストを適用すること自体全く無意味ではないかと思います。

しかしこんな調査をなぜ今このタイミングで、というのもよくわかりませんが、おそらくこのご時世で設備投資が抑制されたために暇になったシステム部門が仕事と実績を作るためにやっていることなのでしょう。こんな杓子定規で的外れな対応に実効性があるとは思えませんが、上層部に対するアピールと従業員に対する適当な抑止力になればそれで十分ということなのでしょうか。これで問題を起こす人が本当にいなくなってくれればいいのですが。