ホウキボシスキューバもいいけどシュノーケリングもね。

これまでに「ジェットコースターにもほどがある」と「52%調子のいい旅」という2冊の本を読んで私もすっかりファンになってしまったタマキングこと宮田珠己氏ですが、こんどは「ウはウミウシのウ – シュノーケル偏愛旅行記」という本を読んでみました。

アジアンリゾートを中心に珊瑚礁の海でシュノーケリングをするために行った旅行の顛末を記した著作ですが、相変わらずの脱力気味の文体で、「旅行記」というにはあまりにもくだけたものになっています。まあ著者が旅行記だというのだからそうに違いないのですが、実際のところは横道に逸れまくりで旅そのものとは無関係な話も満載です。読者としてはそんなところが楽しいので、もちろん不満を述べているわけではありません。

また、この本では実際にシュノーケリングをして見つけた色々な変な生きものが紹介されているのですが、普通なら写真、贅沢な本ならフルカラーの写真で鮮やかな生きものを見せてくれるところを、この本ではあくまで宮田氏の手書きイラストでの紹介となっています。このイラストがまた脱力系なのですが、特徴をよく表しているような気がしないでもありません。正直なところ私も実物を観たことがないのでよくわからないのですが。

ところで、欧米の本ではよく巻頭に「誰々に捧ぐ」という献辞が書かれているものですが、この本にも献辞らしきものがあります。しかし、その文句が

この本の収益の一部を
かけがえのない世界の海とそこに棲む生きものたちを、
わたしが見に行くために捧げたい。

となっていて、よくよく読んでみると要は「この収益でまたシュノーケリングに行きたい。」と言っているだけだったりするのが笑えます。

ということでなかなか面白くてまたあっという間に読み終えてしまったのですが、今回はそれだけでなく、シュノーケリングに対する興味もちょっと湧いてきました。宮田氏はあくまでシュノーケリングに拘っていて、スキューバは一度体験しただけであまり関心を持てなかったようです。どうも大げさで面倒くさいから、ということのようですが、その気持ちはよくわかるような気がします。スキューバも潜って見ることのできる世界はきっとクセになるものなのだと思うのですが、その前後の準備と片付けが私には耐えられないような気がします。またそれこそ命が掛かっているので当然なのでしょうが、ライセンスだとか道具も大げさに感じてしまいます。このあたりのバランスで、面倒くささよりも楽しさの方が勝ると感じる人はスキューバ、そうでない人にはシュノーケリングでお手軽に…なんていうと真剣にシュノーケリングをやっている人に怒られそうですが。