手打ちうどん わけい関西在住のうどん好きなら一度は行ってみるべき

3連休の間に4カ所もうどんを食べにいったという、私から見ればうどんマニアにしか見えない後輩Mが「これまでで2番目に美味かった」という店が思いがけないところにあり、ぜひ近いうちにいってみたいと思っていたところ、ちょうど昨日出掛けるところの中間地点に位置することがわかったので寄って昼食に食べることにしました。

それは「関西極楽さぬきうどん 後編」で紹介されている「手打ちうどん わけい」というお店で、JR加古川線滝野駅の目の前という絶好の立地です。まあ、電化されているとはいえ昼間は1両編成の加古川線というローカル線の駅前にあったからといって便利というわけでもないのかも知れませんが、駐車場も8台分完備されているので車で行くにも困ることはないでしょう。国道からもそう離れていませんし、わざわざ高速道路に乗ってまでうどんを食べに行く人がいるかどうかは別として中国自動車道滝野社ICからも近いところです。

関西極楽さぬきうどん〈後編〉かしわ天ざるそういうことか
浦谷 さおり 別府 護
西日本出版社
売り上げランキング: 839,056

お店に着いてみるとその店構えは小ぎれいでスッキリしており、いわゆる「人気店」にありがちな鼻につくところが全くないので非常に好感が持てます。まあ都市部から離れているという立地のせいもあって有名ではあっても混み合うほどでもないのかも知れませんが、到着したのが1時過ぎだったということもあってすぐにテーブルに着くことができました。店員さんたちの対応も普通に丁寧で「ほんとにこの店であっているのかな?」と不安になるほどでしたが、コープ神戸の情報誌「ステーション」で紹介された際のページがラミネート加工されてメニューと一緒に立っていたので間違いないことは確認できました。

明石天かき揚げぶっかけうどん私はMもお薦めの「明石天かき揚げぶっかけうどん」を、妻は明太子うどん、子供たちはきつねうどんを注文しました。ゆでたてを提供したいということで15分ほど待つことになるのですが、その15分の間に期待は高まるばかり、実に長く感じられましたが、届いたときの喜びもひとしおですね。

見た目もつややかでいかにも美味しそうなうどんを早速ほおばってみると、期待通りの強いコシで歯切れが良くまた喉越しもツルリと実に素晴らしい麺です。ここのご主人は私も先日行った釜たけうどんでうどんのすばらしさに目覚めて修行したということなのですが、わけいの方では捏ね、延ばし、切りという作業を機械に頼らず全て手で行われているらしく、そこにかけられている手間と愛情が麺の美味しさに表れているということなのでしょう。確かにこのうどんより美味しいものというのは私の記憶にはありません。

また、美味しいのは麺だけではなく、上に載っている明石天かき揚げの方もなかなかのものです。和食の修行を積まれた板前さんがいるらしく、このかき揚げの繊細さはその辺のうどん屋さんでは出会えないものです。明石天というのは明石名物のタコのかき揚げ…ではなく平天のことらしいのですが、この平天を細かく切ったものとサツマイモの細切りとをかき揚げにしたものがその名の通り「明石天かき揚げ」です。このサツマイモの甘みがお菓子のように美味しくて子供たちに半分ほど取られてしまいましたが、これは一度味わってみる価値があります。

妻の明太子うどんの方は温かいうどんに明太子ペーストが添えられたシンプルなものだったのですが、こちらはこちらでダシと明太子が良く合っていて、結構な辛みがあるのに美味しくて残ったダシは私が飲み干してしまいました。また温かいうどんでも麺のコシは健在で、うどんは冷たいものか釜揚げに限ると思っていた私もこれには納得です。

ということで、このお店はこの場所だからこの混み具合で住んでいるのであって、もしも大阪や東京にあったりしたら収拾のつかない状況になっているのではないかという、大変素晴らしいうどんでした。完全手打ちを貫いているからこそ実現しているうどんなのでこれ以上規模を大きくするということは考えられないというのが、手広くやり始めた途端に味が落ちるというラーメン屋にありがちな展開に陥らずに済むのでファンにとっては安心できるところですね。私も自宅からは1時間ほどかかるところなのでそう頻繁には訪れることができませんが、この方面を通るときには常に気になってしばしば寄ることになることは間違いない、そんなお店になりました。


拡大地図を表示