へうげものたかがマンガとは侮れません…

以前は「大の大人が…」と眉をひそめて見られていたマンガも、麻生太郎代議士が大のマンガ好きを公然と自認し、また世界各国で日本のマンガが翻訳されて出版されるなど、日本独自の文化として認められるようになってきました。私自身は日頃ほとんどマンガを読むことがありませんが、それは別にマンガが好きでないからではなく、のめり込みやすい性質なだけに手を出さずにいるというだけのことです。子供の頃も自分で買うことはほとんどありませんでしたが、書店で何時間も立ち読みしていたものです。それが今なら下手したらマンガ喫茶に入り浸りだったかもしれません。

そんな私に後輩Mが貸してくれたのが週刊モーニングに隔週で連載されているらしい「へうげもの」というマンガの単行本です。既に1巻から4巻までは読み終えていて、今回借りたのは最新の5巻(5服)です。

へうげもの 5服 (5) (モーニングKC)
著:山田 芳裕
講談社 (2007/08/23)
ISBN/ASIN:4063726258

貸してくれる前に「茶の湯を通して戦国時代を描いたマンガ」と聞いて全く想像がつかなかったのですが、読んでみると確かにその通りの内容でした。主人公は古田左介、後の古田織部という数寄者で、その古田が織田信長豊臣秀吉に仕えながら千利休に師事し、名物・業物を愛でる様子を描いた者です。戦国時代を描きながら戦の場面はごくたまにしかないというのも面白いところです。

作品中には茶器を中心に様々な名物・業物が登場するのですが、特にそれに関心を持っていなかった私も色々と見て感銘を受けてきたあとなのでぜひ一度見てみたいと興味が湧いてきます。もともと私が子供の頃に母が茶道をやっていたりしたので目にはしていたものの、決まり切った作法通りにやるだけで茶会の何が面白いのかサッパリわからなかったのですが、茶の意味がようやく分かってきたような気がします。

また、もちろんフィクションなので史実とは全くかけ離れているのかもしれませんが、戦国武将らのひょうきんな一面が描かれているので親近感が湧いてきてしまいました。日本史が大嫌いだった私も、あの城にはこの人のものだったのかというだけで興味が湧いてくるというものです。学生の頃にこのマンガがあればひょっとしたら日本史の成績はもっと良かったのではないかと思うと残念ですが、こういう作品が学校教育にも活かされるということはないのでしょうか…まあこれは子供向きの作品ではありませんけどね。