旧志免鉱業所竪坑櫓実に満足な一日。

ということで九州旅行の続きですが、最終日は朝9時頃に宿を出発して帰路に就きました。本州と九州を結ぶルートとしては往きに渡った関門橋を通るほかに山口県周南市の徳山港と大分県国東市国見町の竹田津港を結ぶスオーナダフェリーを利用するルートというのもあります。正月の帰省の直後でもあり長距離のドライブには子供達も飽きているだろうから、と帰りはこのフェリーに乗ることも考えたのですが、ちょうど良い時間帯の便がないことと、料金の高さとを考えて結局とりやめに。ただ、往きは苅田北九州空港ICから一般道を南下する九州東岸沿いのルートを使ったので、帰りは福岡経由のルートで気分を変えてみることにしました。

この時間に湯布院を出発するとちょうど福岡を通る頃に昼時のはずで、福岡で食事といえばやっぱり博多ラーメンがいい、しかもせっかく本場で博多ラーメンを食べるなら一風堂の本店に行ってみよう、ということで大分道から九州道を進んでいたのですが、思っていた以上に福岡は近く、直行するとちょっと早すぎる、それなら近くに寄りたいところがあるんだけど…と本当は最初から行くつもりだったクセにわざとらしく行ってみたのは旧志免鉱業所竪坑櫓という近代化遺産です。

1964年に閉山した国営炭坑である志免鉱業所において、坑夫の昇降と石炭の搬出に利用されていた施設で、櫓の上に巻き上げ機があるワインディングタワーと呼ばれるこのタイプのもので現存するのはこれを含め世界に3つだけ、というなかなか貴重なものです。私は以前から写真で見ていて一度この目で見てみたかったものなのですが、その写真で想像していたのは荒野にポツンと建っている風景だったのに、実は普通の市街地にあるのだということを知り意外に思っていました。ここに昨年夏に後輩Mが行ってきたというのを聞いて、機会があれば私も、と思っていたその機会が巡ってきたというわけです。

やはり写真で見たイメージが頭から離れず、すぐそばに民家などが見えることに違和感を覚えるのですが、それを忘れれば非常に存在感のある建造物で、わざわざ見に行った甲斐があります。地元の人にとっては日常の一部でしかないので、私の他に振り返って見る人は一人もいませんでしたが、ちゃんと案内板などは設置されていて、隣接するシーメイトなる施設で簡単なパンフレットを貰うこともできました。この櫓は町のシンボルとして支えていくということらしいのですが、すぐ間際まで駐車場や遊具などが迫っていたりするのはちょっと何とかならないものかと…

ということで子供達をそのシーメイトの「なかよしパーク」で遊ばせている間に一人でじっくり観察させて貰った後、一風堂の大名本店へと向かいました。福岡もさすがに九州第一の都市ということでかなりの都会っぷりでしたが、田舎に慣れてしまった私は戸惑いつつなんとか近くのコインパーキングに駐車し、店まで歩きます。本店といえど店構えは控えめで、それと知らなければ全国的な有名店の総本山とは思えないでしょう。
一風堂 赤丸かさね味卵のせ
メニューは至ってシンプルですが、私は赤丸かさね味卵のせのランチセット、家族は白丸元味と本店かさね味を選んで食べ比べてみることに。香りだけでも幸せになれる博多ラーメンですが、スープをすすってさらに幸せに、そして細くて固い麺と一緒にその幸せを噛みしめる…そんな至福の瞬間です。赤丸はニンニクが利いていてとても私好みの味ですが、かなり濃い目の味付けになっているので赤丸の後に白丸を食べると淡泊で平板に感じてしまうのが失敗でした。本店かさね味もこの大名本店でしか味わえない貴重なものだというのに、赤丸を先に食べたせいでよくわかりません。まあ、赤丸は美味しかったからそれだけでも十分です。
錦帯橋
そうしてお腹を満たして文字通り満足したあとはそのまますぐに高速に乗り、九州を後にしました。しかし、休憩の度にただサービスエリアに寄るのもすっかり飽きてきてしまったので、本州に上陸した後の休憩は岩国ICで一旦降りてすぐそばの錦帯橋を見に行ってみました。名橋として名高い錦帯橋には私も独身時代に行ったことがあるのですが、冬のまだ夜の明けきらない頃に一人で行ったので有り難みも今一つでした。今回は午後の日差しが当たる頃に行けたので、日に照らされた橋の裏側の複雑な構造も楽しむことができましたが、やはり冬の平日ということで訪れる人は少なく寂しい雰囲気でした。しかし、あたりには桜の木が沢山植わっていて、またインターチェンジから橋のたもとまでの間には桜のトンネルがあるので、桜の季節にはかなり見事な風景が楽しめそうですので、次はその時期に訪れてみたいものです。

ということで目的地は湯布院だったにも関わらず、それ以外の場所でばかり楽しんでしまったような今回の旅行でしたが、それはそれで楽しければいいでしょう。最初はわざわざ九州に行く意味があるのか、もっと近い温泉地でも同じなのではないかと思っていたのですが、旅行というのはその道中こそが楽しいとも言えますね。次に九州に行くのはいつになるかわかりませんが、他にも見どころはいっぱいあるはずですし、季節が違えば同じところでも違うはずなのでまた近いうちに行ってみたいものです。