カーリング難しいのは見た目通り。

冬季オリンピックの花型競技といえば日本ではやはりスキーやスケートでしょうか。私はもともとオリンピックには興味がなく、テレビ中継もほとんど見ないのですが、今はアイスホッケーにハマっているので先日のソチ五輪でも男子ホッケーだけは何試合か観戦しました。特にNHLの地元チームDetroit Red Wingsからは10人の選手が代表として出場しており、特にスウェーデンチームには6人も入っていたので応援していたのですが、残念ながらカナダに敗れて銀メダルに終わりました。なお、そのカナダチームの監督Mike BabcockはRed Wingsの監督という複雑な事情もありました。

ところで、近年の大会での日本チームの活躍もあり注目を浴びる種目の一つがカーリングです。高度な戦略が必要とされることから「氷上のチェス」とも言われるそうですが、日本での競技人口はかなり限られており、私の身の回りにはやったことがあるという人はほとんどいないのではないかと思いますが、今週カナダに出張に行ってきた際に体験することが出来ました。

出張先はトロント近郊だったのですが、宿泊していたWhitbyという町にあるWhitby Curling Clubというカーリング場に行ってきました。ここにはボーリングでいうレーンに当たる「シート」が6つあり、大きめの規模なのではないかと思いますが、同じ町に他に2つ、近くの町にもいくつものカーリングクラブがあるそうで、カナダの人は日本人がボーリングをやるのとあまり変わらない感覚で楽しんでいるようです。とはいえ、地元の人でもまったくやったことがないという人も珍しくはないようです。

プレイするにあたって個人で準備する必要があるのは氷の上を歩くためのインドアシューズだけで、ストーンやブラシは備え付けのものを借りることができます。また、専用の靴は片足の底がテフロンで滑るようにできているのですが、その代わりに裏がテフロンの中敷きのようなものを踏んで「投げ」ます。私達が始めた後で女性ばかりの集団が入ってきて5シート全てを埋めてしまったのですが、この人達は定期的にやっているようでフォームも非常にきれいでしたし、靴やブラシは自前のものを使用しているようでした。年齢層は中高年が多いようでしたが、老若男女を問わず平等に楽しめそうな感じです。

さて、私達は9人で行ったのですが、ここに2人のベテラン指導員が2時間以上つきっきりで教えてくれました。最初はストーンを持たずに投げるフォームの練習から始めたのですが、これが予想以上にバランスをとるのが難しく、滑っているうちに向きが変わってしまったり体が転がってしまったりで、なかなかうまくいきません。ストーンを持った方が若干安定するのですが、ストーンに体重をかけてしまうと投げる力の調節が難しくなってしまいます。滑らせる距離の調節はこの競技の肝です。

またカーリングといえばスウィーピングです。ブラシでストーンが進む先を磨くアレですが、これもまた非常に疲れます。ブラシといっても本当のブラシのようになっているわけではなく、エチケットブラシのような布で氷をこするだけなので、本当にこれで効果があるのかどうか半信半疑ながら一生懸命磨きました。このスウィーピングで飛距離を多少調節できるとのことなのですが、ある程度以上強すぎる時は為す術もありませんし、弱すぎる時はいくら一生懸命磨いても止まってしまい非常に疲れます。

ということで普段使わない筋肉を使ってなかなか疲れたのですが、実際思っていた以上の運動になりそうです。またストーンの飛距離や方向のコントロールは非常に繊細なもので、さらにどこに投げると良いのかという判断・戦略は知能的なものになります。激しい運動ではなく、力任せに投げることもできないので若者には向かないかもしれませんが、中高年の運動不足解消とボケ防止には良いような気がしました。とはいえ氷が必要なので日本での普及はやはり限られてしまうでしょうね。今回は非常に貴重な体験が出来ました。