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Bohemian Rhapsody

改めて聴いてその偉大さを再認識。

私の観たい映画ラッシュの11月、上旬にして早くも3本目に観たのは「ボヘミアン・ラプソディ」です。QueenとそのリードシンガーであるFreddie Mercuryの伝記的作品となっており、Queenの前身であるSmileにFreddieが加わるところからLIVE AIDへの登壇で絶頂を迎えるところまでを描いたものです。

この作品ではフォックス映画の冒頭に必ず登場するあの有名な20th Century Foxロゴのファンファーレがギターで演奏されていてとても良いです。これはサントラ盤にも収録されており、Queenの演奏となっているということはBrian Mayのギターということなのでしょう。非常に気分が盛り上がります。

序盤に本作のタイトルでもある楽曲”Bohemian Rhapsody“にまつわる件がありますが、この曲はまさにQueenを象徴する唯一無二といっていいものであると思います。演奏時間が5:55と長いために当時のラジオでは放送されないと言われていたそうですが、現在では5分程度の曲などザラにありますが、その障壁を崩したのも彼らだということになるのかもしれません。

Freddieを演じているのはRami Malekです。若い頃のFreddieとして最初に彼が現れたとき、正直なところあまり似ているとは思えず不安を感じてしまったのですが、単に私が見慣れない髪型や髭がないせいだったのか、あるいは観ているうちに慣れてしまったのか、終盤ではかなりそっくりにしか見えなくなってしまいました。不思議なものです。

終盤はLIVE AIDでのステージをかなり忠実に再現したものになっています。YouTubeでは実際の映像を見つけることができるので私も観て比べてみましたが、かなり細かいところまで作り込んであるのではないかと思います。もうこれなら本物の映像を差し込んでしまってもいいのではないかと思えるほどです。もちろん映画に出演しているのはRamiをはじめとする俳優らですが、その彼らも本人らの振る舞いや雰囲気をとてもうまく演じていると思います。

実はLIVE AIDが行われたときには私もロンドンに住んでいたので、親に頼んで行こうと思えば行けたはずなので、実に惜しいことをしたものです。それどころかテレビで見ることもしなかったので、当時の愚かしさを呪いたくなるほどです。中学生だった私には個性的すぎてなかなか受け入れることができなかったのがその一つの理由で、Queen以外の出演者は大人好みの大物ばかりだったということもありますので、致し方ないのかもしれませんが…

それにしても1991年にFreddieがAIDSによる気管支肺炎によって亡くなったのは45歳の時ということで、今の私よりも若くして亡くなってしまったということになります。まだ存命なら今年72歳ということになりますが、このような才能が短命で終わってしまうというのは本当に惜しいものです。Freddie一人の伝記映画ではないのですが、それを思わずにはいられませんでした。

ジョナサン・アイブ – 偉大な製品を生み出すアップルの天才デザイナー

アップルファンならいいでしょうが。

今でこそ携帯電話はiPhone、パソコンはMac miniとMacBook ProでiPadも持っている、とアップル製品に囲まれている私ですが、あまりアップルファンという自覚もないままいつの間にかこうなってしまいました。同じ会社の製品で揃えておいた方が何かと便利だから、というのは囲い込み商法の目指すところでしょうが、特にそういうわけでもありません。それではいったいなぜアップル製品を選択するのか。まず、安いからではありません。性能・機能から考えれば特に割高だとは思いませんが、もっと安い他社製品はいくらでもあります。また、高性能だからというのでもありません。例えばiPhoneよりもSony XperiaSamsung Galaxyなどの方が性能的に勝る部分は多いでしょう。

では、なぜか。それは「使っていて気持ちが良いから」ということではないかと思います。製品の意匠は特にかっこいいというようなものではありませんが、シンプルで飽きの来ず、邪魔にならないものです。また、ユーザインタフェースについても使っていて引っかかるような動作がなかったり、無駄な操作を省くことが考えられていたりして、スペックに現れない官能的な部分に力が注がれているように感じます。もちろん、OSをアップデートしていくとハードウェアの性能が追いつかなくなって最終的には使いものにならないほど重くなってしまったりもしますが、少なくとも発売時点で性能に不満を感じるようなことはないのではないでしょうか。

そんなアップルのこだわりの部分は故Steve Jobsによるところが大きかったと言われていますが、ことデザインに関してはそのSteveの右腕であったJonathan “Jony” Iveの業績として知られています。しかしながら、秘密主義のアップルの、さらに極秘中の極秘であるデザイン部門については非常に情報が限られていて知られていることは多くありませんが、このJonyについて著された「ジョナサン・アイブ – 偉大な製品を生み出すアップルの天才デザイナー」という本が発行されたので読んでみることにしました。

ジョナサン・アイブ

ところがこの本、Jonyの伝記としては肩透かしというか、はっきり言うと期待はずれでした。Jonyがアップルに入社するまでのところはいいですが、それ以降はJonyを中心に描いてはいてもアップル製品の歴史を書いているだけで、また多くがすでに知られていることではないかと思います。Jonyが各製品にどのように関わってきているのかということはあまり知られていないことですが、それもあまりしっかりと記されていません。そして残念なのは、アップルの歴史の中で、Jonyがどのような状況で何に心を砕いてきたのかというようなことがほとんど描かれていないことです。

結局のところ、著者もあまり詳しい情報を得ることができなかったということなのかもしれません。外部に漏れてくる情報をつなぎあわせてストーリーを作ったというところなのでしょうか。著者はCult of Macというアップル関連情報ブログを主宰するLeander Kahneyという人ですが、「スティーブ・ジョブズ」のようなちゃんとした伝記作家のちゃんとした伝記のようなものを期待してしまったのがいけなかったのでしょうか。

おそらく読者が最も知りたいところはどうしてJonyが優れたデザインを生み出すことができるのかということではないかと思いますが、そこについてはほとんどわからないままです。Jonyが抜群のセンスを持ったデザイナーであるからだと言われてしまうとそれまでなのですが、それにも何かしらの背景があるはずです。ただ、この本からは一つ一つの製品をデザインしたのはJony本人ではなく、IDgなる産業デザイングループ全体としての成果であり、それを取りまとめているのがJonyなのだということはわかったので、それはひとつの収穫と言えるかもしれません。まあ当たり前のことですけどね。

スティーブ・ジョブズ

周りの人たちは大変だったろうな…

日本にいる時は毎週図書館で5,6冊の本を借りて読みあさっていたものですが、なぜか今はそういう余裕もなく、読みたいと思って買った本も一向に読み進めずにそのまま置いてある、いわゆる「積ん読」状態でどんどん溜まっていってしまうような状態になっています。特に以前より仕事が忙しいというわけでもありませんし、新しい趣味ができたというわけでもないのですが、強いて言えば睡眠時間を意識的に長くしているくらいでしょうか。睡眠不足は免疫力の低下につながるので、極力風邪もひかないようにしなければならない環境ゆえのことです。

しかし先日、地元Ann Arborのダウンタウンにある図書館に行った際、日本語書籍のコーナーに行ってみると思った以上に日本の本があって、しかも比較的新しい人気作品があり、それでいて借りる人は少ないので日本の図書館では一年以上待たないと順番が回ってこないようなものもすぐ借りられるというようなことになっていました。もちろん、全体の冊数は僅かなので選択の幅はありませんが、異国の図書館であることを考えれば十分でしょう。ということで、今回はそんな中から見つけた「スティーブ・ジョブズ」を借りて読んでみましたが、やはり貸出期間の1ヶ月では読み切ることができず、結局2度延長して何とか読了です。

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この作品は言うまでもなくちょうど2年前に亡くなったAppleの創業者でありCEOであったSteve Jobsの伝記ですが、唯一本人が公認しているもので、しかも亡くなったわずか20日後に発売されたということで大きな話題になったものです。他のJobs非公認の伝記は何冊も読んでいた私ですが、この頃ちょっとバタバタしていたこともあってこの作品は読むタイミングを逃してしまっていました。実は原書の英語版はKindleで購入していたのですが、こちらもほんの冒頭部分までで止まってしまっていたので、ようやく読めたというところです。

この作品を読んでいて思うのは、Steveの人生というのは完全にAppleと共にあったのだということです。Appleからエポックメイキングな製品が世に出てきた時、それはすなわちApple II、Macintosh、iMac、iPod、iPhoneそしてiPadといった製品が生み出された時には必ずSteveがそこにいて、その開発の細かい部分にまで関与していたのだということで、本書ではそこを中心に描かれているように感じました。もちろん私生活についても書かれてはいますが、彼がどれだけ自分の会社と製品を愛し、熱意を持って接していたかということがひしひしと伝わってきました。

そしてなぜAppleからはこれだけ魅力的な製品が出てきて他社にはできないのか、それはSteveがいるかいないかではないのだと感じました。そうではなく、会社を動かす立場にいる人が、Steveと同じように自分たちの製品に深い愛情を持って関わることができるかどうか、違いはそこではないでしょうか。Steveは決して技術者として優れていたわけではありませんが、鋭い感性を持ち、そして決して妥協しませんでした。彼に振り回される周囲の人間は大変だったでしょうが、必死に信じて従っていたのでしょうか。

SteveがいなくなったAppleがどうなってしまうのかは彼がCEOを退いた頃から不安視されていたことですが、それは今後新たなイノベーションを起こすことができるのかということでしょう。iPhoneの販売数が伸び悩んでいるなどという報道もありますが、限られたパイの中でいつまでも同じペースで数量が伸びるはずもなく、まだ減少しているわけでないなら心配するところではないと思います。それよりも問題はiPhone、iPadの次の革新的な製品を、高い完成度で生み出すことができるかどうかではないでしょうか。

本作は最近「テルマエ・ロマエ」のヤマザキマリ氏により漫画化され、またAshton KutcherがSteveを演じている映画化作品「ジョブズ」も今度の週末に日本でも公開されるということでまだまだ話題となっているようです。アメリカでは映画”Jobs“の公開は既に終わってしまっていて、私は見逃してしまったのですが、この本を読み終わった後で今さら観たくなってきてしまいました。DVD等は来月発売されますが、評判を聞くと買ってまで観るほどではないような気もしますし、レンタルでいいかもしれません。この本はまあまあ面白かったのですけどね。

スティーブ・ジョブズ(1) (KCデラックス)

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