読書詰め込むような読み方はしたくないものですが。

小中学校で図書委員になったりしていたのも関係があるのかどうかわかりませんが、私は子供の頃から比較的良く本を読む方で、今も本棚には収まりきらない本が沢山ありますし、最近は図書館に通うようになって経済的負担もないということもありなかなかハイペースで読んでいるのではないかと思います。このブログでも度々読んだ本を取り上げていますが、読んではみたもののご紹介するまでもないというようなものもあります。また、このところはローマ人の物語の続きを読んでいるのですが、1冊ごとに違う感想を述べるのは難しいですし、同じようなことばかりではしつこいと思い、取り上げるのは最後まで読んでからにしようと考えているところです。

ところで、今日もまた次男と散歩がてら図書館へ行って5冊の本を借りてきたのですが、いつもチェックしている新入荷のコーナーで見つけたのは『READING HACK! 読書ハック!―超アウトプット生産のための「読む」技術と習慣』という本です。本を選ぶ要素として表紙のデザインというのは結構重要だと思うのですが、この本の場合も装丁に惹かれて手にとってパラパラとめくってみて面白そうだったので借りてみた、というところです。

この本では読書の技術、読書法について述べられているのですが、副題にもある通りアウトプットを得るための読書、即ち効率的に結果を得るための読書が対象であり、読書そのものを楽しむためのものは対象外となっています。いわゆるビジネスマンにとって、ビジネス書を読みまくることがどれだけ重要なことであるのか、エンジニアである私にはよくわからないところですが、とにかく数をこなし、それを結果に結びつけるための読書法が89の「ハック」として取り上げられています。

このため、最初の章は「いかにして沢山読むか」「どうやって読書にのめり込むか」ということが対象になっており、この時点で私は「そんなにしてまで読まなくてもいいのに」という気になってしまいました。エンジニアも技術書を読まなければならない時がありますが、私の場合は幸いにも「読まされている」というような感覚にはならず、知的好奇心でドライブできているので助かっているということでしょうか。まあ1000ページ以上ある英語のマニュアルなどを読むのは確かに苦痛な時もありますが…

その次の章では「どうやって読書を楽しむか」ということになるのですが、これもまた楽しくないものをいかに楽しむかというような内容になっていて、やはりそんなにしてまで…と哀れな感じさえしてきます。とはいえ、ここで紹介されている本棚コミュニティ「ブクログ」はちょっと面白そうなので私も早速登録してみましたし、また読んだ本の著者のブログなどにアクセスして著者との対話を楽しむというのも確かに良さそうだと思いました。

第3章では速読法について述べられているのですが、私にはどうも速読というものを受け入れることができません。目次で目星を付けて1ページ数秒で流し読みをして、太字ゴシックで強調されているところに注目して気になったところだけ前後をじっくり読む、なんていう方法が勧められているのですが、それならそんな要点だけを簡潔に書いた企画書のような体裁のものがあればそれだけで済んでしまうし、最初からその方が効率的なのではないかと思ってしまうのです。それ以外のところは一体何のためにあるのか…全く不思議なものです。

その後の章はどうやって有意義な本を見つけるか、どういう本を選べばよいのかといったことが述べられていて、ビジネス書を教科書として読むにあたっては有効なアドバイスになっているのではないかと思います。また、書籍ではなく業務上のドキュメントの読み方や、読んだ本やドキュメントをどう消化するかといったことについても述べられているのですが、このあたりは私の興味もほとんどないところなのでそれこそ斜め読みになってしまいました。

結局、私にとってはあまり役に立つ本ではなかったということになってしまうのですが、こんなにしてまで頑張って本を読んでいる人がいるのだと知ったのはちょっと新鮮な驚きでした。著者の原尻淳一氏は年間300冊以上の本を読んでいるのだそうですが、本当に一流(?)ビジネスマンというのはビジネス書をどれだけこなすかで差が出るものなのでしょうか。私には縁のない世界なのでさっぱりわかりませんが、それが本当だとするとそんな苦しい思いをして自分の地位を維持するなんて大変でしょうね…全く他人事ですが。