ETC1000円だとETC地上局の償却には何年必要?

昨日までは攻勢一方だったのに今は代表の疑惑で揺れている民主党政権公約の一つに掲げている「高速道路の無料化」に対抗して、与党が提出した「高速道路料金の上限を千円とする」という法案が今日成立し、今月28日から割引が開始されるとのことです。

ただし、上限が千円になるとは言っても適用されるのは土日祝日のみ、大都市圏は除く、ということなので注意が必要です。土日祝日のみというのは週末のレジャー需要を喚起するための施策なので仕方ないのかもしれませんが、休みが土日でないサービス業に従事される方は恩恵に与りにくいシステムになってしまいました。また、ゴールデンウィーク、お盆休み、年末年始という長期連休の時期にも利用が土日に集中してしまい、行楽・帰省ラッシュを増長させるようなことになりそうで心配です。ただ、現在の休日昼間割引とは違い時間帯の制約はないのはまだ救いがあります。

ちょっと気になるのは「大都市圏」の範囲がどういう定義になっているのかということですが、これは休日昼間割引の対象とならない大都市近郊区間と同じだと思えばいいのでしょうか。そうだとすると東京と大阪の周辺だけなので私の帰省の際にもそれほど影響を受けずに済みそうなので助かります。また、対象外となる大都市圏をまたいだ場合でも上限千円の部分は二重に支払う必要がないとのことなので、無理に大都市圏を避けずに移動すればよいようです。とはいっても大都市圏との境になる出入口は少しでも料金を浮かそうという車で混雑してしまいそうですね。

そしてもちろん、この複雑な料金体系を実現するためにはETC機器の利用が必要です。ハイウェイカードが廃止されてしまったので、以前から高速道路を頻繁に利用するという人は既に装着していることでしょうが、今回の割引が実施されるとなると1回の旅行の往復だけでも機器の代金の元が取れてしまいそうですから、現在75%強となっているETC利用率はほぼ100%に近いレベルに跳ね上がるのではないでしょうか。これでほとんどの利用者がETCで料金所を通過するということになれば有人ブースを大幅に減らすことができて人件費の削減に繋がるのでしょうが、そうはいっても1台でも未装着の車がある限り有人ブースをゼロにはできませんから、最終的にはETC機器を無料で配布することになってでも強制的に使わせるようになったりするのかもしれません。

ということで、ある程度の頻度で高速道路を利用する人にとっては大歓迎の施策ですが、どうしても気になるのはそれだけ料金が安くなるということは道路の償還は一体どうなるのか、割引の原資は一体何なのかということです。まあ原資は当然税金であるのは間違いないのですが、長期的な視点でも手放しで歓迎できる政策なのでしょうか。どうせ1000円程度では焼け石に水という程度の収入にしかならず、ほとんど税金で賄うようなことになるのであれば、それこそ完全無料化の方が理に適っているような気がします。ただ、ETCなんていうものの開発と普及に金を掛けてしまったのと、様々な利権も絡んでいるので今さら後に引けないということなのでしょうが、本当に国の将来を思うのであれば目先に囚われていてはいけません。

とはいうものの、これまで深夜割引を使わないと帰省の度に片道12000円ほどもかかっていた料金がたかだか2000円程度で済むようになってしまうかと思うと、少々複雑な思いは抱きつつも喜ばずにはいられません…我ながら現金なものですが。