Windows 7今のところさしたる不満はなし。

もともとコンピュータのOSなんていうものはアプリケーションを実行するためのプラットフォームに過ぎないのですから、本来であればそんなに頻繁に新しいものが必要になるということもないはずなのですが、新しいハードウェアを有効に活用したり、高度なセキュリティ機能を盛り込むためには最新のOSというものが求められることになります。しかし、単なるプラットフォームでしかないものにCPUの処理能力を大きく割かなければいけないようではPCの能力を引き出すこともできず本末転倒となりますので、ある程度のバランスというものも必要です。このバランスで失敗したのがWindows Vistaで、セキュリティを充実させた結果ユーザに煩わしく感じさせてしまったり、「重い」という印象を拭うことができずなかなか普及させることができず、多くのユーザが未だにWindows XP以前のバージョンを利用しているということになってしまいました。

わたしもそのXPユーザの一人であるわけですが、元々新しもの好きなので新しいOSにも非常に興味を持っています。ただVistaの場合には「Vistaにすると何が良くなるのか」ということが伝わってこなかったので、移行に踏み切れず今に至っているわけですが、さすがに7年以上前にリリースされたOSをいつまでも使い続けているといい加減古くさいところが目についてしまいます。それはMac OS Xなどと比較すると顕著に感じてしまうものです。

ということで、今年1月に公開されていたWindows 7 betaには私も飛びついたわけですが、今月5日にはアメリカで、昨日7日には日本でも製品候補版(RC)のダウンロードが始まったので、早速前回betaをインストールしたところに上書きインストールして試してみました。

インストール自体はすんなり進み、以前のバージョンのWindowsよりも遙かに楽に短時間に終わってしまうので拍子抜けするくらいです。当初音が全く出ずに四苦八苦してしまったのですが、実はマザーボードに搭載されている音源ではなくPCIのサウンドカードを増設してそこにスピーカーを接続しているのを忘れていて、そのドライバがインストールされていないだけであることに今日の会議中にふと気付き、早速帰宅してからドライバをダウンロードしてきてインストールしたら無事に音が出てくれたのでホッとしてしまいました。

常駐アプリの類がほとんどインストールされていないということも多分に影響しているとは思うのですが、普段使用しているXPの環境よりも起動は遙かに速く、起動後の動作もキビキビしているように感じます。Vistaからの売りであるAero GlassはOnの状態で使用していますが、描画にグラフィックスカードの3Dアクセラレーションを活用している効果で、半透明の凝った外観であるにも関わらずスムーズに動作します。

Vistaから大きく進化しているのがデフォルトではスクリーン下端にあるタスクバーですが、従来は起動中のタスクが表示されていたタスクバーと、単なるショートカットに過ぎなかったクイック起動バーが統合され、アプリケーションを起動して表示されたタスクのアイコンを簡単な操作でアプリケーションの終了後も残るように登録でき、その後はクイック起動のアイコンとしても使うことができるようになります。これはかなり便利な機能ではないでしょうか。

また、従来はアプリケーションのウィンドウごとにタスクバーに表示されたり、XP以降はそれを統合するようにしたりできるようになっていましたが、7ではアイコンのみ表示されているところにマウスカーソルを重ねると各ウィンドウがサムネイル表示され、さらにそのサムネイルにカーソルを移動するとそのウィンドウを残してほかのウィンドウは枠線のみの表示となってハイライトされるようになり、容易にウィンドウを探すことができるようになりました。もちろんVistaからのALT+TABでのサムネイルによる切り替えやWin+TABでのFlip 3Dは健在です。

新しいOSというとハードウェアのドライバサポートが心配なところですが、Vistaからの内部構造の変化は大きくないため、ほとんどのVista用ドライバが使えるのではないでしょうか。今のところ私が使ってみた範囲ではVista用ドライバが使えないということは経験していません。今まで使っていたデバイスが使えなくなるということほどやるせない気分になるものはありませんからね。

ということで、現在Vistaを使っているという人が乗り換えるほど魅力のあるものではないかもしれませんが、PCの性能に余裕がありながらXPを使い続けているという人はそろそろ移行しても良い頃なのではないかと思わせる出来になっていると思います。ちなみにRC版は少なくとも6月中は提供するということなので焦らずダウンロードしてみればいいかと思いますが、来年7月まで利用可能なものの3月からは2時間おきにシャットダウンされるようになるということなので、実質的に使い物になるのは2月までということになります。遅くともそれまでに正式版が発売されるということでしょうから、それまでに製品を購入しましょう、ということですね。また、あくまでRC版の試使用は自己責任でお願いします。