検察庁司法試験に合格していたってやっぱり人の子、聖人君子じゃないということ。

大人なら誰でも名前は知っていて、何のためにあるのかということも大体は知っていても実はよくわからない謎の組織「検察」ですが、今週は2つのニュースで主役というよりは悪役になり、槍玉に挙げられることになってしまいました。

まず1つ目は、ある検察官が証拠品であるフロッピーディスクに私物PCでアクセスし、「偽証明書の作成日時が検察側主張に合うように書き換えられていた」というニュース。検察といえば公訴権という強力な権力を持つ唯一の組織で、要するに裁判に持ち込むかどうかはこの人たちの胸先三寸で決まってしまうということです。その権力は何にも増して慎重に扱ってもらわなければ困るものですし、起訴したからには裁判にも公正に臨んでもらわなければなりません。

その検察官が自分たちに都合の良いように証拠品に手を加えるというようなことがあったとしたら、私たちはどうやって自分の身を守ればよいのでしょうか。たとえ自分の身に何もやましい事がない、清廉潔白な人であったとしても、証拠を捏造されて起訴されてしまってはどうすることもできません。裁判官は検察の主張に嘘はないという前提で判断を下すでしょうから、検察に目を付けられた時点ですでに結果は決まっているということになってしまいそうです。

もうひとつのニュースは、尖閣諸島近海で違法操業していたところを見つかり、取調べを免れようと漁船を巡視船に衝突させたため公務執行妨害罪で逮捕していた中国人船長を「日中関係を考慮して」釈放する、というものです。最初は国内向けのポーズと見られていた中国政府の態度が日を増すごとに厳しくなってきて、また日本人4人が中国の軍事施設を撮影していたとして拘束されているということも伝わってきて、そういう状況を考えて、というつもりなのでしょうが、結局中国の圧力に屈してしまったようにしか見えません。これでは「圧力をかければ日本は折れる」という前例になってしまうだけで、日本国にとってはなんのためにもならないのではないでしょうか。

しかも、今回の判断は検察が独自に下したものであり、政治判断ではないというのですから驚きです。いったいいつから検察庁が外交に関与するようになったのでしょうか。勝手にこんな判断を下して国益を損なう官庁にも開いた口が塞がりませんが、そんな官僚をコントロールできていない民主党政権にも大いに問題があります。そもそも、政府が速やかに政治判断を下さないからこそ問題が大きくややこしくなってしまったわけですが、せいぜい事態がこれ以上悪い方向に進まないようにしてもらいたいものです。

それにしても、検察官になるには弁護士や判事と同様、司法試験に合格する必要があるのですから、相当なエリートであるはずです。1つ目と2つ目のニュースではだいぶレベルの違う話ですが、そんな人達がこういうおかしなことをしてしまうのは仕方のないことなのでしょうか。たまに悪いことをして捕まる弁護士もや判事もいますし、結局は勉強の出来不出来とは無関係な人間としての問題なわけで、沢山の人がいれば中にはそういう輩もいるというだけのことですかね。勉強が出来れば偉いというわけではないという当たり前のことで…