The Dark Knight

The Dark Knight並の「アメコミ実写化」とは一線を画す出来栄え

CG技術の進化により可能となったことでここ数年非常に多くなっている、アメコミを原作とする実写版映画はあまり深く考えることなく単純に楽しむことができるという点で、頭をあまり使いたくないときに好んでよく見ているのですが、ことバットマンシリーズに関してはあまり思い入れもなかったので、今月は私にとっての注目作品が多いということもあって今回の「ダークナイト」はパスするつもりでした。

しかし、前評判の高さもさることながら全米公開された今週も大変な高評価を得ていて、あの「タイタニック」の記録を塗り替えるのではないかともいわれるほどの勢いで興行収入を伸ばしているということで、私も無視できなくなりました。実は私はまだ「タイタニック」を観ていないのですが、その公開から十余年を経て未だに破られていない「興収6億ドル」の記録がついに…というのは相当な出来なのだと思われます。ということで、先週末の先行上映は都合が合わずに逃してしまいましたが、日本でのロードショー初日となる昨夜、映画館に足を運んで観てきました。

この作品は前作「バットマン ビギンズ」に引き続きChristopher Nolanの監督となる新シリーズのもので、それ以前のシリーズのいかにもアメコミという雰囲気のものからは大きく変わった、前作からのダークでモノトーンなイメージを引き継いだシリアスな作品となっています。以前は「なんでコウモリのコスプレをしているのか」と納得できなかったものですが、今ではそれが単なるモチーフに過ぎないと受け入れることができるのだから我ながら不思議なものです。

主役のBatmanことBruce Wayneも引き続きChristian Baleが演じているのですが、今回はすっかり飲まれてしまっています。誰に、というのは撮影後に急死してこれが遺作となってしまったHeath Ledgerが怪演するJokerにです。このJokerの存在感は圧倒的なものがあり、まさに狂気そのものを演じているかのような迫力があり、Heathはこの作品に自分のすべてを捧げてしまったのではないかとも思われるものです。きっと彼の最期を飾るのに十分なものとも言えるでしょう。厳密には死亡時に撮影途中だった「パルナッサス博士の想像力」という作品も撮影済みの部分はHeathの演技のものを採用するようですが、完成したものとしてはこの「ダークナイト」が最後のものとなります。

また、もう一人主役を食ってしまったのが後のTwo-Face、Harvey Dentを演じるAaron Eckhartです。Aaronは「幸せのレシピ」に出てきたときにも胡散臭く見えて仕方なかったのですが、今回も「光の騎士」(White Knight)として善人であると言われてもそのまま信じることができず疑ってかかってしまいました。でも実際には後ろ暗いことは何もないのですよね。ちょっとにやけた感じに見えてしまうところがいけないのでしょうか…というよりそう見てしまう私の方がいけないのでしょうが。まあそれは置いておいて、このAaronが演じるHarvey Dentも非常に存在感がありました。

しかしこの二人の迫真の演技を活かすためには152分という長めの上映時間でもまだ不足と感じるくらい、非常に内容の濃いものとなっていて、観客には休む暇も与えられません。終わってみると最初の方がどういう話だったかを克明には思い出せないほどではないでしょうか。JokerとTwo-Faceのエピソードはそれぞれ独立した作品とした方が良かったのではないかという意見もあるようですが、それでは逆に凡百の作品に成り下がってしまうのかもしれず難しいところです。
Batpod
コミックらしいメカとしては前作で格好良かったBatmobileも登場しますが、あっという間に破壊されてしまいます。その後はバイクタイプのBatpodが迫力のある走りを見せてくれますが、この動きが非現実的に過ぎるのではないかと…まあカッコさえ良ければそれでいいのかもしれませんが、このタイヤでまともに曲がれるとはとても考えられません。

まあそれにしてもコミックが原作だということはすっかり忘れてしまってもいいくらい、非常にダークでシリアスな、サイコサスペンス的要素も兼ね備えた素晴らしく重厚な作品でした。コミック版の知識があった方がより楽しめるのかもしれませんが、逆に変な先入観を持たずに独立した作品として観てもいいのではないでしょうか。ただ、直接的な残虐シーンはありませんが、ちょっと想像するとむず痒くなってしまうようなシーンはところどころにあって、そういうのに弱い私は目をそらさないように必死だったりもしましたが…

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