NO MORE 映画泥棒誰に向かって言っているのか。

ここ数年の間に映画館で映画を観た人であればきっと見たことがあるはずですが、「NO MORE 映画泥棒」のキャンペーンCMというものがあります。現在は3作目となっていますが、頭部がビデオカメラになった人物が警察官らしき人物に逮捕される、というアレです。もともと「映画盗撮防止キャンペーン」の啓発CMとして始まったもののはずですが、私は勝手に数ヶ月で終わるものと思っていたらそんな甘いものではなかったらしく、今でも変わらず流れていますし、現在のものはなんと2015年まで流れることになっているそうです。

最初はどアップになった女性が真っ黒な涙を流す、という象徴的でシンプルなものだったのでそれほど気に触ることもなかったのですが、2作目からは例のビデオカメラ男がクネクネと踊る、人を小馬鹿にしたようなものになり、さらに3作目ではなぜか音楽のダウンロードについてまで付け加えられてしまいました。どうして映画館に来てまでそんなことを言われなきゃいけないのかと思っているのは私だけではないでしょう。

映画館で実際にどの程度盗撮が行われていて、それが映画業界に対してどの程度の損失を与えているのか分かりませんが、鑑賞料金を払って観に来ている観客にこのCMを毎回見せつけることによってどういう効果が得られるのでしょうか。これによって観客がどれだけ不快な思いをしているのかを理解していて、それを上回る実質的な効果があると思っているのでしょうか。

映画館側の判断でこのCMを見せないとか、予告編の前に見せるとかして欲しいという声もあるようですが、話によるとこのCMは本編のフィルムに一緒にプリントして配給されているものらしく、これを切り離すということはできないようです。要するに、このCMは配給側の意志として本編の直前に見せつけているということなのです。

一方、昨日はIMAXシアターで「エンジェル ウォーズ」を観てきたわけですが、IMAXの場合は一般の映写機によりCMや予告編が流れたあと、IMAXの映写機に切り替わったところでIMAXのCMが流れます。そうすると映画泥棒はどこで現れるのだろうと思っていたら結局そのまま本編が始まってしまいました。IMAXのフィルムが特別なもので、そのIMAX版の映画泥棒CMが存在しないためにこういう事になっているのでしょうが、あると思っていた嫌なものが無かったことで実に気分良く本編に臨むことができたわけです。

しかし本来は皆こうであるべきなのですよね。今回改めて実感してしまい、こうして書かずにはいられなくなったわけですが、全く理不尽なものです。日本国際映画著作権協会の方々にはぜひ一度考えなおしていただくことはできないものでしょうか。