Mêléeこれまで私が巡り会った中では最高のアルバム

おそらく33rpmのレコードの頃からカセットテープやCDなどメディアは変わっても、音楽の一つのアルバムは1時間前後というのがほとんどではないでしょうか。中には40分程度という短めのものもありますが、クラシックなどを除けば曲数も10曲程度というのが一般的なものでしょう。もちろんベスト盤やコンピレーションアルバムなどでは1枚のCDに15曲から20曲以上も入っていたり、2枚組3枚組というのも珍しいものではありませんが。

一方、最近はiTunes Storeを始めとするダウンロード販売も一般的なものになりつつあって、この場合アルバム単位で購入するとセット割引のような形で割安にはなるものの、アルバムの中から聴きたい曲だけを選んで購入することもできるようになったので、アルバムという構成単位にはあまり必然性が無くなってきてしまいました。P2PのせいでCDの売り上げが落ちてきているなどと言われていますが、物理的な所有にこだわらなければiTunes Storeなどのこうした利便性は大きく、旧来の「メディア」からシフトしていくのは当然ではないかと思われます。

しかしながら、「アルバム」というのも一つの作品であって、その1枚1枚にテーマがあったり、構成する曲目やその曲順も熟慮があって決められているものです。中には単なる数合わせ、尺合わせで詰め込んだようにしか思えないようなアルバムもあって、ある曲が気に入ったからといってアルバムを買ってみるとガッカリということもたまにあり、良くても全曲どれも気に入った、ということはなかなかないものです。しかし最近私が最も気に入って聴いているMêléeのセカンドアルバム、”Devils & Angels“は何度聴いても全曲通して最後まで聴いてしまう、という素晴らしい1枚でした。

Devils & Angels
アーティスト:Mêlée
Warner Brothers (2007/04/03)
ISBN/ASIN:B000NQ28CY

カリフォルニアのオレンジカウンティ出身のロックバンドMêléeですが、まず問題は「どう読むのか」ということです。どうもフランス語から来た乱闘などを意味する言葉のようなのですが、普通英語では使わないアクセント記号が2つもついているので困ってしまいますね。所属のワーナーミュージック・ジャパンではカタカナで書くときは「メイレイ」としているようなので、そう読んでおけば間違いではないでしょうか。

曲の感じは「乱闘」というグループ名とはほど遠い、透き通ったハーモニーが美しいとても優しいもので、ピアノの音色が印象的です。このMêléeもこれまであまり私が聴かなかったタイプですが、Tower Recordsの店頭で何気なく試聴して、引き込まれてしまいました。素っ気ないダウンロード販売サイトでいくらプッシュされるよりも、スタッフの手書きPOPで気持ちのこもった紹介がなされている方がちょっと聴いてみようかという気になりますね。実店舗でのCD販売が生き残っていくのはやはりこういうソフト面が重要ではないでしょうか。

それはそれとして、音楽を言葉で伝えるというのは実に難しいものなので、ちょっと興味を持たれた方は彼らの公式サイトで試聴ができるので聴いてみていただければと思います。リズムセクションが力強いビート感のある音楽もいいですが、たまにはこういう透明感のある音楽を聴いてみるとそれこそ「癒される」というか、何となく前向きな気分になれるような気がします。

これはぜひライブで聴いてみたい、というところなのですが、なかなか日本に、しかも関西に来るということはないでしょうね…まあまだ若い彼らなので、これからますます音楽にも磨きをかけて活躍し、より大きくなってからの来日に期待したいと思います。本当は小さなライブハウスなどで聴いた方が良さそうなのですが…