みうらじゅん間違っても「フリーセックスゥー」なんて呼ばれる羽目にはなりたくない…

日本のサブカルチャーを代表する、というよりサブカルチャーの存在を日本の表舞台に引き上げた人物であるみうらじゅん氏はテレビ、ラジオ、雑誌、書籍その他実に幅広く活動していますが、先日ヴィレッジヴァンガードの店頭で流れていた「全日本コール選手権」のDVDでも審査委員長として出演していたみうら氏は非常にいい味を出していました。このDVDが面白いのは「コール」自体のくだらなさもあるでしょうが、そのバカバカしさをくそまじめに淡々と審査するみうら氏がそれ以上に面白いのではないかと思いました。

さて、そんなみうらじゅん氏を信奉する後輩Mが読めと貸してくれたのは「色即ぜねれいしょん」というみうら氏の自伝的小説です。この作品は来年映画化公開されるというニュースも最近あり、ちょっとタイムリーでもありました。

色即ぜねれいしょん
著:みうら じゅん
光文社 (2004/07/21)
ISBN/ASIN:4334924425

みうら氏の高校時代の甘酸っぱい青春時代を若干誇張・脚色して描いたような作品らしいのですが、東山高校に通っていたみうら氏と同じく、主人公イヌこと乾純も京都の仏教高校に通う高校1年生です。Bob Dylanに憧れギターを弾くおとなしい少年は、友達に誘われて夏休みに隠岐の島へ旅に出て、島での経験から大きく成長するのです。

隠岐ではユースホステルに泊まるのですが、とんだ思い込みからあらぬ妄想を抱いて乗り込んでいきます。末尾の後日談「三十年目の再会」では2004年にみうら氏が訪れた際には廃墟と化したユースホステルを目にしているのですが、現在隠岐の島ユースホステルは長期休館中となっており、完全に閉館したわけではないようです。ひょっとすると現在の建物は別のところにあるのかもしれません。

私の高校時代の旅行といえば、友人らとなぜか木曽馬籠の民宿に泊まりに行ったのを思い出します。今となっては一体何をしに行ったのかよくわかりませんが、確かに楽しかったことだけは覚えており、確かにあれが青春というものだったのだろうと思います。残念ながら色恋沙汰は全くありませんでしたが…

それはともかく、この作品は非常に軽快で読みやすく、正味3時間ほどで読み切ってしまいました。変に凝った文章でなく高校生の一人称で綴られているので感情移入しやすく、束の間青春に浸ることができるのではないかと思います。改めてみうら氏の多才さに恐れ入るばかりですが、こんな純朴な少年がああなってしまうとは…