X51.ORG The Odysseyまだまだ世界には不思議スポットが沢山あるはず…

アメリカ合衆国ネバダ州のエリア51といえば、墜落したUFOの期待やその乗組員らが運び込まれているのではないかという噂で有名な米国空軍基地です。UFOに興味のある人であれば誰でも一度行ってみたいと思ったことがあるのではないかと思いますが、実際にそこに行ってしまった人がいます。それは2003年からオカルト情報サイトX51.ORGを主宰する佐藤健寿氏ですが、このほかUFO絡みではまだそれがUFOと呼ばれるようになる前に「空飛ぶ円盤」が墜落したというロズウェルや、ナチスがUFOを開発していたという噂を追ってアルゼンチンを訪れ、また雪男イエティを追ってヒマラヤを登ったりと、世界のあちこちを取材して回ったときの話が「X51.ORG The Odyssey」という本にまとめられ出版されています。私はオカルトファンとしてはまだまだライトな方だと思うのですが、「これが噂のX51.ORGの書籍版か…」と書店で手にとってページをめくってみると非常に面白そうだったので購入してみることにしました。

X51.ORG THE ODYSSEY
著:佐藤 健寿
夏目書房 (2007/04)
ISBN/ASIN:4860620593

実際に読み始めてみると、最初のうちはあまりオカルト方面の知識が無くても読める冒険記のようなものになっていて、テーマがUFOと異星人ということもあってX-Filesが好きという人であれば楽しめるのではないでしょうか。ただし、付いている脚注の量が並ではなく、その時の小ささもあって全ての情報を取り込むのはやはり好きな人でないと苦痛に感じるかもしれませんし、また理解することも難しいかもしれません。私もとりあえず1回目は、と脚注も半分ほど読んだだけです。

しかし、これが中盤から終盤にさしかかってくると、テーマのマニアックさもあってかなかなか厳しいものになってきます。序盤のような「取材記」の色彩は薄れてきて、論文でも読んでいるかのような印象に変化してきてしまうのです。これは単に私に予備知識がないからそう感じるだけなのかもしれませんが、そうだとするとやはり誰にでも勧められる本ではないということになってきてしまいます。ただ、普段からX51.ORGにアクセスして読んでいる人であれば当然知っているべきことなのかもしれないので、ちょっとグロいことがあるので定期的には見ていないという私のような人が読むのはそもそも間違っていたのかもしれません。とはいえ前半はかなり面白いと思ったので、全く買って後悔はしていません。

実は、この本の素晴らしいところはふんだんに掲載されている写真にもあります。これらの取材の際に目標として訪れた各地とその周辺の、非常に美しく魅力的な写真が沢山掲載されていて、これらを見ているだけでも私は満足してしまいます。むしろ、これらの写真をもっと大きくプリントして写真集として出版してもいいのではないかとさえ思える、とても素晴らしいカットが山ほど載っていて、これは一般的な本の挿絵というレベルではありません。写真家としても通用するのではないかとも思えるのですが、著者の佐藤氏はウェブサイトのデザインも全て一人でされているということなので、きっと美術的な才能もお持ちということなのでしょう。

全体的には満足度80%という印象になってしまったのですが、前半だけを取ってみれば100%以上の面白さで、興奮しながらページをめくっていたというような感じでした。しかしきっとこれは私の興味が偏っているせいで、別に後半がつまらないというわけではないのです。宇宙人と雪男とどっちが嘘っぽいかといっても、きっとどっちもどっちですからね…あ、私も別に宇宙人が地球に来たとか、アメリカ政府が匿っているとか信じているわけではありませんので、念のため。