amazonmp3 (beta)これは今の日本では難しいかな…

最近日本では、現在それ自体は違法ではない「著作物の違法コピーをそれと知りながらダウンロードやコピーする」という行為を著作権法の解釈上の私的利用の範囲から除外するよう求める動きが活発化している(Slashdot.jp)ようですし、また私的録音補償金制度の適用範囲を拡大してiPodなどの音楽プレイヤーやPCのハードディスク自体にも課金しようなどという動きもあり、ユーザを締め付ける方向でしか考えられない人達がいるようで困ったものですが、海の向こうではそれとは全く異なる方向で著作権者の利益を守るためにもなる動きがありました。

iTunes Storeの大成功を見てその後を追おうとする企業は続々登場しましたが、そのいずれもiTunes Storeの牙城を崩すことはできず敗退、もしくは細々と継続しているような状況ではないかと思いますが、ここにまた新たなプレイヤーが登場したのでした。それがamazonmp3です。

もちろんamazonといえばオンライン書店からスタートして取扱品目を次々と増やし、今や何を扱っていて何を扱っていないのかもよくわからないほどの品揃えになってしまっているあのAmazon.comなわけですが、そのAmazonがデジタル著作権管理(DRM)なしのMP3形式での音楽ダウンロード販売を開始したのです。しかも、その価格が1曲89¢~99¢、アルバムなら$5.99~$9.99とiTunes StoreのDRMありの通常版よりも安価で、DRMなしのiTunes Plusと比べるとさらにその差は広がります。

また気になるのはその品揃えですが、ベータ版といっている今の時点で既に18万組以上のアーティストの200万曲以上がダウンロード可能となっているようで、未だ限定的なiTunes Plusをはるかに凌駕するものとなっていて、通常のiTunes全体と比べてほぼ互角ということになっています。いきなりスタート時点でこの品揃えということは、満を持してのスタートということなのでしょう。

ただ、iTunes Storeの一番の強みはiTunesによる、iPodを含めた手元のライブラリとのシームレスなインタフェースにあります。この点amazonmp3ではウェブブラウザで購入してiTunesなどのライブラリにインポートする、という2段階の作業になってしまうわけですが、専用のAmazon MP3 DownloaderによりダウンロードとiTunesやWindows Media Playerへのインポートを自動化することで対応し、カバーしようとしているようです。

ということで私も早速利用してみよう、と思いAmazon MP3 Downloaderをインストールして試聴用の曲をダウンロードしようとしたのですが、このサービスを利用するためにはAmazon.comのアカウントの他にクレジットカードとアメリカ国内のBilling Addressの登録が必要になっています。クレジットカードは問題ないのですが、勝手にやたらな住所で登録するのも気が引けるので私はここで断念してしまったのですが、誰か個人的なつてがあれば日本国内に住んでいてもなんとか利用することはできそうです。iTunes Storeの場合はアメリカのストアはクレジットカードがアメリカのものでないと受け付けてもらえないので、まだチャンスがあると言えるかもしれません。まあ、iTunes Storeの場合はギフトカードがあれば利用できてしまうわけですが。

結局私は様子を見てみるだけで終わってしまったわけですが、提供されるMP3ファイルは256kbpsでエンコードされているということで音質に相当なこだわりを持っているような人でなければ問題はなさそうですし、なによりMP3であるということでどのプレイヤーでも再生できるというのが素晴らしいことです。コピー制限がかかっていないということは、コピーし放題で誰にでも配れる…ということなのではなくて、自分の持っているプレイヤーで制限なく聴くことができるという点で素晴らしいことなのです。この辺りのことが日本の「権利者」にはさっぱりわかっていないようで本当に嫌になりますが、やっぱり日本でも同じようなサービスを始めるということはまず無理なのでしょうね…まあ日本の役所は外圧には弱いようなので何とかなるかもしれませんが。きっと無理だと思っていたiTunes Storeも大した騒ぎもなく始まりましたが、こちらはそれ以上ですからね…