Vantage Point本当に最初から最後まで気を抜く暇がありません。

4月1日というと期の始まりということで大きな人事異動があったり、入社式が行われたり、学生にとっては学年の変わり目であったり、はたまたエイプリルフールの元の意味から外れてあまり趣味のよくない「ジョーク」があちこちで見られたり、さらに今年は暫定税率の期限切れでガソリンスタンドに長い列ができたりと人によって色々ある日なのではないかと思いますが、私にとっては何といってもやはり月に一度の「映画の日」です。週末の余波で何となく病み上がり感覚で仕事にも力が入らないのですが、これは別腹とばかりに今日もさっさと会社を抜け出して映画館へ行ってきました。

といっても実は映画館へ足を運ぶのも結構久しぶりで、前回は家族で「アース」を観に行った2月1日なのでちょうど2ヶ月ぶりということになります。まあ2ヶ月に一度以上映画館へ行っているという人はそう多くはないかもしれませんが、私自身としては久々の映画館のように感じました。

今回観ようと思ったのは頼りにしている前田有一氏が95点を付けたバンテージ・ポイント」です。実績に基づいて前田氏の批評はかなりあてにしているのですが、高得点が与えられた作品はいわゆる話題作ではないことが多く、上映期間が短くていつの間にか終わってしまうことがあるので気を付けなければいけません。今回の「バンテージ・ポイント」も既にレイトショーでの上映は終わってしまっており、7時30分からの回に慌てて行くことになってしまいました。まあ、5時半過ぎに職場を出て一旦自宅に戻ってからなのでちょっとバタバタです。しかし、この映画はそれだけの甲斐がありました。

映画の紹介については本職の前田氏のページをご覧いただいた方がいいだろうとは思いますが、簡単に言えばスペインの広場で起こったアメリカ大統領暗殺を、そこに立ち会い関わった8人のそれぞれの視点で描いたものです。秀逸なのはその視点の切り替わりで、12時から始まるある人の視点での描写が終わるとまた時間が12時まで巻き戻されて別の人の視点に切り替わり、その人が終わるとまた巻き戻されて切り替わり、と順に8人分の視点で描かれるのです。その切られるポイントもヤマ場CMさながらなので、緊張感が最高潮に高まったところで巻き戻されてそこからまた徐々に高まって…とどんどん右肩上がりで上昇するので息苦しくなるほどです。

結局物語全体は小一時間の話なのですが、それを実時間以上の90分に延ばしてもなお緊張の連続というこの映画は一体どうなっているのでしょうか。これぞ映画の醍醐味と言っていいのではないかと思いますが、テレビで放映する際にも切り替わりのところでCMを入れればあまり邪魔にならないという副作用もありますね。まあどうでもいいことかもしれませんが、同じようなことをテレビドラマでやるのもいいのかもしれません。いや、それにしても凄い映画でした。映画館で観るのはもう間に合わないという人はご自宅に大画面テレビや大迫力サラウンドなどがあればBlu-rayやDVDなどの購入をお勧めします。残念ながら我が家にはどちらもありませんが…

ところで昨年から予告を観ていて私も興味津々だった映画「クローバーフィールド HAKAISHA」の公開が今週末に迫っているということで、今日は長編予告を観ることができてますます面白そうでぜひ観たいと思ったのですが、一つ問題があることがわかりました。というのは、この映画は全編カムコーダ撮影というのが大きな特徴になっていて、画面が激しく揺れるのでこれに酔う人も多いらしいのですが、問題なのは字幕です。本編でも字幕はおそらく普通の字幕なので揺れません。ということは、目の動きを揺れる映像に合わせると字幕が読めず、字幕を読もうとすると映像が揺れて見られないという大変なジレンマに陥るのではないかと思われるのです。ここはいっそのこと吹き替え版で観るべきなのか、それとも頑張って英語力アップを果たすべきなのか…まあ後者はあり得ないでしょうが、この映画自体のヒットがかかっているなかなか切実な問題ではないでしょうか。本当は映像に合わせて一緒に揺れる字幕を開発してもらえるといいのかもしれませんが、そうするとますます酔う人は増えるでしょうね…